ひろゆき

あらののはてのひろゆきのレビュー・感想・評価

あらののはて(2020年製作の映画)
3.4
銀幕短評(#623)

「あらののはて」
2021年、日本。1時間9分。

総合評価 68点。

消しゴムでけすように

高校のときは、「内職」をよくやりましたね。数学の時間に英語をする。英語の時間に世界史をする。世界史の時間に数学をする。効率がよいのかわるいのか、じぶんでもよくわからない。ただ美術の時間には内職ができない。油彩で絵具をかさねるだけです。イーゼルに足をかけるな。よくしかられました。

この映画は、すこしずつ現実感を消しながら そろそろと進行します。青春映画、恋愛映画、シリアスドラマ、ギャグ映画、音楽映画。そのそれぞれのステージで、あれこれと非現実をもぐりこませる。この作風は わたしは気に入りましたね。引きの多いカメラがとてもいい。画力がいちいちすばらしい。人物(かれらはよくフレームアウトしますが)を映さないときも、うつくしい風景をシャープに切り取る。すてきな音楽とともに。

本作の終盤には、暗転して映画をしめくくるいいチャンスがいくつかありましたね。作画がうまいから。歩いているカット、ガムのカット、ほかにもたくさん。みなさんもそう感じたでしょう? あ、いまだ と。監督はなぜあそこまで引っ張ったのだろう。ちょっと不思議ですね。まあ次作に期待しましょう。
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