回想シーンでご飯3杯いける

夢追い人の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

夢追い人(2020年製作の映画)
3.3
製作総指揮として「ROMA」や「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンの名前があったので、ずっと気になっていた作品。しかも彼の母国であるメキシコではなく、インドが舞台。インドの古典音楽(理論)ラーガを学ぶ青年の物語になっている。

インドの音楽と言っても、所謂ボリウッド系の映画で流れるようなポップな物ではなく、西洋音楽とは音階の概念も異なる独特の音楽が全編で流れる。音楽とお経の中間みたいな感じか。ストーリーの中では、古典音楽に傾倒する主人公の対比として、大衆的な音楽を求めるお客さんの姿も描かれる。もしかすると世界的に注目されるようになったインドの映画や音楽に対する、古典派による警鐘みたいなメッセージが込められているのかもしれない。

題材がマニアックで、しかも用語解説的な台詞も無いから、日本人としてはその独創的な音楽にどっぷり浸る事をメインに楽しむしかないのだが、残念な事に演奏シーンがさほど多くなく、しかも録音が今ひとつなのが残念。いつも通り5.1ch環境で鑑賞したものの、その環境を満喫できるような音質ではなかった。「ROMA」や「ゼロ・グラビティ」の音響が完璧だった事を考えると、本作ではその辺りにアルフォンソ・キュアロンは関わっていないのだろうと推測する。