Eryyy678

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのEryyy678のレビュー・感想・評価

4.4
それにしても紫の雨って、魅力的。

マルチユニバースという前作からの世界観は踏襲しつつ、コミック的なオノマトペ、そしてグラフィックアートやらAIアートやらがミキシングされたような映像表現は、前作にも増して進化している。

そして黒人スパイダーマンを基軸としたブラックカルチャーテイストな作品の雰囲気が、これまたこの作品で描かれるニューヨークの、ブロンクス的な退廃的かつ洗練されたイメージと非常に合っているのですよね。
つまり、最高にクールなアート作品と言いたい。

黒人ヒーローという語られ方は、この広角的な多次元宇宙世界の中では、もはやあまり意味を成さないでしょう(色んなスパイダーマン出ますし)
しかしこの作品の根幹を成しているものは、黒人文化的なポップスのテイストも寄与している(もちろんそれが全てではない)と思っているので、やはりそこ抜きには語れないのかなと。

不満点がなかったかといえば、この非常に洗練されたアートのような映像に目が慣れてしまい、もはやメリハリのようなものが感じられなかったこと。ストーリーにおける風呂敷の広げ方が、やはりマルチバース的な食傷加減から逸するには、これぐらいの斬新さをもってしなければならないのかという、妙に冷めた目で観続けていたこと、とかでしょうか。

とはいえそれらはの気になった点は、些細なことです。
この完成度の映画を映画館で観たことは、正解でした。
Eryyy678

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