ニコチンロイド

ジョン・ウィック:コンセクエンスのニコチンロイドのレビュー・感想・評価

4.5

素晴らしい。実に素晴らしい。

2と3を経て失われていった最初の「ジョン・ウィック」のバイブスを取り戻すことに成功している。
それはつまり魅力的な殺し屋たちだったり、ジョン自身の内奥の怒りと悲しみであったり。

魅力的な敵役がいれば映画はさらに良くなるというわけで、今作のドニー・イェンは本当にカッコいいし強いし素晴らしい。アクションのキレが凄まじい。
片手にピストル(盲目だからサイト要らねえだろ!という潔さがロマン)片手に仕込み杖のスタイル、人感センサーで敵の位置を把握するテクなどなど「只者でなさ」というか、ジョンに比肩しうる強さをきちんと発揮しているのが本当に良い(ジョンもわざわざ片手にピストル片手に刀を逆手に持って同じスタイルで対抗する。なんでやねん!)。
ジョンとの関係性も見もので、1作目のウィレム・デフォーのような食えなさとカッコよさを見せてくれました。

凄いのは3時間のほとんどをアクションしている割に全然ダレないこと。
「何そのカメラワーク」とか「なんでその武器使うの!?いや強いなほんで!」とか「何その弾!?」とか「何この階段」「何この階段!」「何この階段!?」と、いろんなテクニックを使って飽きさせず楽しませてくれるので素晴らしい。ホスピタリティに溢れてる。
良い味出してるつよつよ犬も活躍する。
それから前作で一番イライラした「防弾が進化したな!」のシーンみたいな、鳴物入りのコンバットマスターで全然抜けない首席連合の部隊みたいな不自然な硬さの敵が居ないのもよかった。
まあ背広で顔を覆うようにして防御するのもなかなかキテる絵面だったけど前作みたいなゲームの負けイベ的理不尽さを感じることはなかったので良し。
あとコンバットマスターの恨みを晴らすかのように活躍するピットバイパー。
100万円する拳銃をとんでもねえ使い方します。

あと個人的に大阪コンチネンタルのサイバーパンクみが最高だった。
桜の木の横に佇むジョンの美しさったらない。
そして食材用の冷蔵庫を開けたら当たり前のように刀と弓矢と手裏剣が入ってるんだもんなー!敵の装備は般若みたいなメンポだし!なんか背景に「初志貫徹」というデカデカとしたネオンが煌めいてるし!良い意味で空想上の日本の美しさが炸裂している。
あと下手したら銃よりよっぽど強いヌンチャク。

そして必死こいてたどり着いた場所で始まるラストバトルはすべてが静謐で美しい。

いやーもうほんとお腹いっぱい。良いもん見せてもらいました。
シリーズの最後に相応しい傑作です。