まーしー

タイラー・レイク -命の奪還-のまーしーのレビュー・感想・評価

3.5
インドの麻薬王の息子オヴィが、バングラデシュの麻薬王に誘拐される。裏で傭兵の仕事を請け負う主人公タイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)は、オヴィの救出に向かう——。

貧困の地域を舞台にした子どもの救出劇。密集した住宅地を舞台にした銃撃戦やカーチェイスは、アクション映画の中でも超一級だろう。
それほど、手に汗を握るアクションの連続であり、見応えがあった。
様々な銃を使って撃ち合うことから、『ジョン・ウィック』と比較される人も多いよう。

一番印象に残ったのは、中盤のオヴィとの脱出劇。カメラの長回しによる逃亡の様子は、まるで自分がゲームの世界にいるかのような感覚に陥る。
時にはタイラーを、時には追っ手をワンカット風で捉える約12分間の映像は、作品への没入感を誘うことだろう。

「タイラー&オヴィ vs バングラデシュの麻薬王」という、単純な構図でないところも良い。
インドの麻薬王の手下や軍隊・警察などを巻き込み、敵味方が入り混じっての攻防戦が、物語に厚みをもたらしている。
また、敵味方があやふやな状況下で、異変を察知するタイラーの嗅覚と機転の早さに舌を巻く。

タイラーが悲しき過去を語るシーンや、タイラーとオヴィの友情など、ドラマの要素も。
ただ、深堀りされた印象はない。加えて、アクションが素晴らしいため、どうしてもドラマのパートは枝葉に思えてしまう。
タイラーの人間性を味わうより、彼の銃の腕前を楽しむべきだろう。

『マイティ・ソー』という代表作を持つクリス・ヘムズワース。
本作も、彼にとって当たり役であることは間違いない。