ワンコ

チィファの手紙のワンコのレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
4.5
【はじめのラストレター】

こちらの作品が、ラストレターより先だと知ったのは、映画のキャプチャーを読んだからだった。

映画ラストレターは、日本ではお馴染みの俳優さんばかりで、ちょっと出来過ぎ感は強くて、実はこちらの方が、あらすじは知ってて先入観はあったが、心に染みる感じがした。

何故だろうか?

曇天の重苦しい空。
思い出の風景も、埃っぽく、少し重苦しい。

しかし、登場人物の若者達は、どこか迷いながらも前向きで明るく、力強い。

そして、今。
曇天は変わらないが、中国の街並みが近代化されたことが伺える。
しかし、大人になった昔の若者達は、どこかに閉塞感を抱えて、日々追われてる気がする。

しかし、姉妹の子供達は明るく、映画に描かれる昔を思い出させる。
前向きに生きようとする決意を見ると、若者は希望に満ち溢れ、変わることはないのだと改めて思う。

好きだった人。
思い出。
僕達にもそれぞれ、心にしまってある様々な思い出のシーンがあるのではないのか。

残された手紙や、小説に残された物語も同じだ。

キラキラした思い出は、自分自身が前向きになることによって、きっと、さらにキラキラするのだ。

だから、この曇天の中国を舞台にし、皆が前向きに生きようとする設定に、共感するところが大きいのかもしれない。

僕はやっぱり、岩井俊二作品が好きだ。
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