悪魔の毒々クチビル

マーベルズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.4
「飛ばないとカマラが高校を卒業出来ないぞ」


「キャプテン・マーベル」2作目の映画は、Ms.マーベルことカマラ・カーンとキャプテン・ランボーとのチームアップもの。
つまりはディズニー+で配信中の「ワンダヴィジョン」と「Ms.マーベル」を観ておかないと、とうとうメインキャラまで誰か分からなくなる段階まで来ました。
あとニック・フューリーの現状を知るために、「シークレット・インベージョン」も一応観ておいた方が良いのか。
俺も「ワンダヴィジョン」と「シークレット・インベージョン」は観たけど「Ms.マーベル」は面倒くさくて結局観ないままでしたが、まぁ何となくどんなキャラなのかは知っていたのでそこまで困らなかったかな。

内容なんだけど、今回はこの3人のヒーローが力を使う度に場所が入れ替わっちゃう設定が特徴でしょうかね。
理由は勿論語られていましたが、取り敢えず「そうなっちゃったんだな」と思っておけば良いと思うよ。
戦闘でも最初は意図せず入れ替わって各々交代で戦い、後半は練習を重ね上手いこと連携プレーに昇華させていてこのバトルシーンは結構印象的でした。思いの外良かったですね。
3人の関係性も好きだし、戦闘で言えばキャプテン・マーベル一人で本来事足りますが各々のキャラに違う役割をちゃんと持たせていたのも上手でした。

初めて観たMs.マーベルも、スパイダーマンと同じヒーローに憧れるティーンエイジャーヒーローとしてポップなキャラでした。
ドラマ観たい!とまでならなかったけど、別に嫌いではないです。

あと最近のMCU作品にしては尺が短めなのも有り難かったです。物語の流れがダレることなくサクサク進んでいたし、昨日からずっと腹痛かったので2時間超えていたら多分途中で一旦離脱していただろうなと。

ただ正直そこまで面白いとは思えなかったかな。
今作のヴィランは前作や「GotG」にも出てきたロナンと同じクリー人のダー・ベン。
演じているのはトム・ヒドルストンの婚約者でもあるゾウイ・アシュトンです。
多分強いんだろうけど、戦闘面でそこまで脅威に映らなかったし(理由は後述)キャプテン・マーベルを憎む理由も分かるものの、これまたいつものパターン。
ヴィランに復讐と言った行動理念を持たせると、中途半端に人間味が出て逆に印象に残らないのよね。

それとバトルシーン全般で不満だったのは、キャロル(キャプテン・マーベル)ら3人はずっと無傷なこと。
そりゃキャロルは滅多な事じゃ血も流れないだろうけど、カマラやランボーは超人パワーを得ていてもキャロル程じゃないのは間違いない筈。
なのにキャロルと同じくダー・ベンにボコられても服すらもろくに汚れていないので、観ていて「余裕じゃん」と緊迫感が一切生まれていなかったです。
小綺麗に描けば良いってものでもないと思うんだけどなぁ。

それと中盤以降でパク・ソジュン演じる王子の惑星に行くんだけど、ここの住人が皆歌でしか会話出来ないので若干ミュージカル調になるのがめっちゃ白けた。
王子は普通に会話出来て原作もそうなのかもしれないけど、多分そうしないと作品のトーンが台無しになるからな気もします。
と言うかここの惑星、ガテラルとかで歌いかけてもちゃんと会話してくれるんかな。

全体はポップでいつも通りコミカルな要素もある一方で、相変わらず思想強めだなぁと思ったら女性監督でしたか。
因みにダー・ベンは原作だと男ですが、まぁいつものヤツですね。
ぶっちゃけ原作漁れば候補の元々女性であるヴィランなんて腐る程いるだろうし、アメコミ映画全般で原作キャラの名前だけ借りてほぼ別キャラにするなんて珍しくないので、これ見よがしに性別改変する必要無くね?とは思うんだけど。

ストーリーの運び方自体は何か強引な理論で無理矢理こっちを納得させちゃう流れだったりと、かなり雑ではあったかな。あんな纏め方でええんか。

結局またポストクレジットが一番気になっちゃうパターンでしたが、これどうするんだろう。
最近はアメコミ映画が飽和状態ですし、MCUにもかつての求心力は無いと思っていますが、個人的には色々なものに露骨に媚び出すと冷めるんですわ。クオリティにバラつきがあるのは昔からだったので置いておくとして。
恐らく「ヤング・アベンジャーズ」の結成も視野に入れているのでしょうが、今のMCUの現状で原作に沿った面子揃えようとすると男ほぼ居なくない?
まぁ原作の方も最近メンバーの殆どがLG~とか言うとんでもない面子らしいけど。
この前は「ブレイド」の製作難航の理由の一つに「ブレイドを脇役にして女性キャラ主体で~みたいな案のせいでマハーシャラ・アリが降板しかけた」みたいな記事も見掛けまして、仮にこれが本当だとしたらもう映画作らずに勝手にフェミ動画でも作っていれば良いじゃないって話よね。

今作で今後の作品群にまた新たな可能性を提示してくれましたが、変に数年先の予定をバンバン決めて勝手にグダるくらいならもっと一本一本を大事に製作して欲しいです。

一応「デッドプール3」は観たいので、なるべくネタバレ喰らわずにとっとと新作は観ていきたいんだけど、今回みたいなまぁまぁの出来でこのノリ続行されたら大分しんどいかも。
ドラマはいくつかスルーしちゃってるし。

テンポは良かったし駄作とも思わないけど、結局劇場で一番テンション上がった瞬間が「エクスペンダブルズ4」の予告でイコさんが出てきた所だったって言うね。まぁスクリーンでのイコさんはあれが初だったからね。しょうがないね。