ミナリのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

そんなに良くもないがそんなに悪くもない映画。家族(大人たち)が全員とても人間臭く、善人でも悪人でもないところが良い。ただそのせいで観ていて不快感もある。

夫は自分の夢を叶えることばかり考え、家族を気にかける余裕がない。自分が立派に成功することが何よりも家族のためだと信じて疑わない。本当に一生懸命ではあるのだが、手伝ってくれる老人を見下していたり、どうにも好感が持てない人物。そして妻は夫のその姿勢に不満しかない。毎日文句を言っては喧嘩になる。ウキウキするのは自分の母親を呼んだときだけ。ただ妻が言う内容自体は正論だし、子供の為を思っての発言だから間違ってはない。

そして変わり者のおばあちゃん。第一印象こそ良くないが、徐々に息子と心を通わせていく過程は何ともほのぼの。しかし脳出血を起こした後が地獄。せっかく育てた野菜を燃やし尽くし、すべてを台無しにしてしまう。罪悪感からこの場を去ろうとするが子どもたちに引き止められるシーンはやはりほっこりする。

淡々と進むものの決してつまらなくはない。ただどうにも感情移入しにくく、「ふーん」くらいで終わってしまった。家族間の揉め事をずっと見せられていただけというか。たぶんこれ韓国映画だったらもっとエグいんだろうなぁ所詮アメリカ映画だなぁなどと思った。