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バーバリアンのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

バーバリアン(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

B級ホラーだが、恐怖感を煽る演出が上手く、鑑賞後には爽快感と切なさが残る、良い映画だった。

とにかく前半のミスリードが秀逸。物凄く感じが良くて優しい男性だが、だからこそ怪しい。完全に彼を疑ってかかっていると、唐突に全裸の化け物女が登場して男は呆気なく殺される。ここが一番「うわー!」となる本作のピーク。

そしてクズ男が登場する後半編に入るのだが、コイツが地下室に入るまでの前置きがちょっと長い。しかし地下に入ってからは怒涛の展開が続くので、目が離せなくなる。
育児ビデオのみを見せられて育った化け物が母性のみで行動しており、主人公を「私の赤ちゃん」と呼びミルクを与えたり身を挺して守ったりするのにはグッと来るものがあった。

とはいえ、さすがにツッコミどころと説明不足感がありすぎる。化け物と全ての元凶だと思われるあの老人の二人は、地下で一体どうやって生活していたのか。食事とかどうしてんの?主人公が飲まされていた哺乳瓶の中身は何?吐き出したりお腹下したりもしていないようだが。そして地下室のあんな環境で生まれて育ったはずのに、あの女が怪力で不死身すぎる。あのガリガリの体で大柄な成人男性の腕をもぐのは無理がありすぎだし、車に轢かれてノーダメージなのもどうよ。説明役のホームレスがいつまでもあの危険エリアで暮らしているのも謎だし、警察があそこまで主人公を信じないのも不自然。

そもそもどうしてあの町はあそこまで極端に荒廃したのか(あの家一軒以外は全部廃墟という奇妙さはホラーとしては良いがさすがに説明はほしい)。大体冒頭の民泊予約かぶり問題はなんだったのか。あとミスリードのためだとしても、不必要な設定や描写が多すぎると思った。

ただB級ホラーとしては中々の快作であるのは間違いなく、ジャンル映画として一見の価値は十二分にある。
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