「君の名前で僕を呼んで」と「リトルダンサー」をがっちゃんこしたような映画だった。
メレブの心の揺らぎの描写が秀逸。
イラクリがいなくなって精神を崩すメレブ、イラクリのピアスを撫でながら悶々とするメレブ、イラクリと再会し嬉しさを弾けさせるメレブ。初めて覚えた気持ちにどうしようもなく溺れ、喜びと苦しみに彩られた「恋」というものの真髄を味わい尽くす彼の純粋さに羨望すら覚えた。
伝統も形式も飛び越えて、メレブが自分に目覚めていく、それを見せつけるようなラストのダンスシークエンスは今後の彼の飛躍を予感させ感動的。
けれど、個人的には恋愛映画じゃなくダンス映画を観に来たつもりだったから、「セルゲイポルーニン」的なダンスシーンがもっと観たかったし、もっと迫力が欲しかったな。メレブを支え続けるマリちゃんのひたむきさと、彼の背中を押すお兄さんの優しさにホロリ。後日譚も観てみたい。