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親密さのncccoのレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.0
Thanks theaterで2回目鑑賞、年越しは「親密さ」を観ながらと決めていた。
作中で何度も繰り返される「心の中の一番柔らかくて脆いもの」についての考察。それは、そんなことを時間をかけて考えることのなくなった社会人の自分の「一番柔らかくて脆い」部分を確実に突いてくる。そして、考えさせられる。
どうして、いつから考えなくなったんだろう?時に傷つけ合って本音剥き出しの想いをぶつけ合ったあの時間。何の意味もないような会話、でも一緒にいるだけでかけがえのなかったあの時間を懐かしく思い返しながら、自分が手のひらからずっと取りこぼし続けてきた何か大切なものを、ひたすらに拾い直した。そして、羨望する。夜明けに向かいながら語り合える二人を。その濃密な可能性と、脆くてしょうがない心の繊細さを。れいちゃんの、痛いほどのリョウちゃんへの想いを。

重なり、ズレながら並走し、そして道を違えていく電車のように令子はリョウちゃんを愛し、きっとこれからまた誰かと生きていく。今は、それでもそんな人生も美しいと思えるくらいにはなっている。年を取るのも悪いことじゃあないよ。
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