久しぶりにソフィアコッポラ作品を見たけど、相変わらず明確な毒気を示さない“平穏風”の作風だなと思った。
今作に関しては“風”ではなく、本当に平穏だったかも。
どの家族も少なからず問題を抱えているんじゃないかと思うけど、今作では2世代にわたって異なる問題が描かれていて、今の家族の問題を解こうとして元の家族の問題にも至るっていうこと、家族問題に限らずよくあることだよなと思った。
劇中のどこにも悪人はおらず、善人もいない。(というか、未だかつて善人のいる映画を見たことがないかもしれない)
映画はすべて日常であふれていて、登場する人物たちの生き生きした葛藤を、楽しさを、許しを見ることができる。
これぞソフィアコッポラである。
Apple TV+の無料期間が終わる直前に慌てて見たというのもあって、鑑賞後感は少し物足りないような気持ちにもなり、もしかしたら数日後には忘れてしまうかもしれないなと思ったけれど、それもまた私の日常に映画が融けていった結果なんだろうと思う。
父に夫の浮気疑惑を相談する娘、娘に婿の浮気疑惑を相談される父、どちらもうらやましいな。
私も口笛を吹けるようになりたい。