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エマ、愛の罠のsymaxのレビュー・感想・評価

エマ、愛の罠(2019年製作の映画)
3.5
"ポロと女と男とダンス、そして火炎放射器"

エマは一回りも年上の振付師ガストンの妻であり、彼が振り付ける劇団のダンサー。

二人の結婚生活は破綻寸前…子供がいない二人は、コロンビア人のポロを養子にするも、ポロが放火し、エマの姉の顔半分に火傷を負わせる事件を起こしてしまい、やむなく養子縁組を解消。

エマとガストンは、ポロを手放した責任をお互いになすり付け合い、醜い言い争いの日々。

ポロが起こした事件は、エマの仕事を奪い、エマとガストン二人の関係は、他のダンサー達にも悪影響を与え、そもそもガストンの振り付けに不満を持っていた事もあり、エマは仲間と共に劇団も辞め、ガストンが嫌う"ストリートダンス"に興じるのでした。

ガストンとの離婚の為、エマは弁護士のラケルに近づき、やがてエマとラケルは身体の関係を持つように…一方エマは、ラケルの夫で消防士のアニバルにも妖しく近づき、アニバルとも親密な仲に…更に、とっくに破綻したはずの夫も誘惑するエマ…三人の男女を次々と誘惑するエマにはある思惑があったのです…

乗っけから、燃える信号機やら、卵子に纏わりつく精子かのようなコンテンポラリー的なダンスシーンから始まり、これは''アートで難解"系か?と身構えてしまいましたが、どうしてどうして、非常にシンプルで分かりやすいお話でした。

エマを演じるマリアーナ・ディ・ジローラモは、ジェンダーレスな雰囲気で、美しいとカッコいいが同居する魅力に溢れ、両性を魅了するというエマに説得力を持たせています。

主役が彼女だったからこそ、成立した作品ではないでしょうか?

ストーリーの展開上、エロいシーンが多く、邦題からもエロティック・サスペンス的な売り方なんですが、ちょっと違うような…

エマは、世の中の"常識"というものを火炎放射器で燃やして、ぶっ壊して、その上に"エマの常識"を作り上げた…全てが終わって、エマの顔に映るのは、"満足"それとも…
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