1980年代~2010年代の中国を舞台に、激動の時代を生きた一組の夫婦の姿を中心に描かれるヒューマンドラマ。
中国の田舎町で暮らすヤオジュンとリーユンの夫婦。そして一人息子のシンシン。二人目をもうけようとするも、かつて中国が推進した一人っ子政策の影響で中絶を強要される事態に。その手術のせいで子供が産めない状態に陥ってしまう。
更に追い打ちをかけるようにシンシンが川遊びの事故で死亡。絶望の淵に立たされた夫婦は、地元を捨てて遠くの町へと移り住むことに。それから養子を迎えるも関係は上手くいかず、複雑な状況になる。
中盤までのあらすじですが、ここまででもかなり壮絶。一人っ子政策の厳しさをひしひしと感じる内容でした。これが近年まで隣の国で続いていたという事実。こんな苦しい思いをした人も中国ではかなりいたのではないかと思います。
数多くの困難が降りかかるも互いを助け合ったヤオジュンとリーユンの夫婦。この2人だからこそ絶望に染まりきらず、苦しみながらも自分を保ちながら過ごせたのでしょう。彼らを演じた主演の2人もお見事。老年期までを演じていて老けメイクも自然体で違和感ありませんでした。
この2人だけでなく友人家族の贖罪も大きなテーマ。シンシンの友人だったハオハオが抱え続けた罪。それを吐露する終盤は本作の1つの見所。
重苦しさがのしかかる3時間ですが、ラストに近づくにつれて少しずつ希望の光が見えてくる展開には救われましたね。
ただ中盤までは時系列が複雑に入り組むので、正直それはいらなかった気がします。ラストの養子の心変わりも唐突気味だった気が。それでも映画ファンなら、この長尺をかけても見る価値は十分ある作品という印象です。