Jellyfish

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのJellyfishのレビュー・感想・評価

5.0
トラウマもあるのだが、ADHD の一種なのだろうか、多動で不寛容で暴力的な9歳の少女ベニーと、彼女を救おうとする (あるいは見放す) 大人たちの話。
極めてリアルな方向に振り切った『こちらあみ子』。これはヤバい。実にやるせない。持っていかれる人は持っていかれる作品と思う。

冒頭からずっと痛々しくて観ていられない。初めから終わりまで、微かな希望が見えては彼女自身がぶち壊しての繰り返し。それでも何故か彼女に惹かれてしまうのが、この映画の恐ろしいところ。もういろいろ危ういが、とにかく共依存まっしぐら。親身になって彼女に関わる人たちは、皆壊れていく。

どう転んでも悲劇的な話のこのラストは、それでもまだ救いのある方なんじゃないかと思う。エンディング・テーマ『Ain't Got No, I Got Life』が切ない。

主演の ヘレナ・ツェンゲル が恐ろしく素晴らしい。脚本・監督 ノラ・フィングシャイト の手腕も見事。本作でフックアップ後の Netflix 映画『消えない罪』 (2021)もぜひ観てみたい。
今年のベスト級。
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