終始肝心なところの行動原理が理解不能な「胸クソ映画」、とあえて言っておこう。なお、吉田修一 の原作は未読。
まず疑問を感じたのは、松本まりか 演じる介護士の人物像。彼女の体当たりの演技には何の罪も無いのだが、「もう戻らへん、この身体が戻らへん」ってどんだけ男に好都合なセリフなのか。これを観た女性はどう思うのだろう。(すみません、昨日見た映画に影響されてます)
並行して描かれる製薬会社のスキャンダルもとって付けたようで、介護施設の事件に絡めた効果が感じられず。手垢のついた話を二つ合体させ、ラストも曖昧にして煙に巻いてやろうってことか？ と作り手の意図を邪推してしまう。
浅野忠信、福士蒼汰 演じる警察の徹底して嫌な感じとか、財前直見 演じる容疑者の取り調べシーンとか、各所に見応えはあって全く飽きることがないのだが、ラストはとっ散らかしたままだし、物語の構造にも、登場人物の行動にも全く納得できない。
このチグハグさが稀有でクセになる作品で、これがこの映画の制作意図だとしたら、確かに成功していると思う。うーん、なんか結局褒めてしまったな …
