システム・クラッシャー。
社会とベニー、壊し壊されたのはどっちだよ…とずっと何とも言えない憤りが付き纏った。
母親の不在と過去のトラウマに縛り付けられ感情をコントロールすることなく、辺りかまわず何なら自分さえも傷つけ続けるベニー。
そんな少女を救済したいと願い、大人たちが手を差し伸べるのだけれど、生半可な善意なんてベニーには通じない。
そんな心の通わないベニーをモンスター視してしまう大人たちの目線も含めて、不条理映画かと思えてしまうほどベニーと大人たちは掛け違え続けるのだけれど、山彦のシーンとラスト手前のベニーと赤子のシーンには救われて涙した。
でもそんなファンタジーに寄せて終われるほど単純なものではないとのメッセージも強く感じたけど、それならラストは冗長だったかもしれないなぁなんて。
多様性という言葉が時には思考停止を生んでしまうような気が常々してしまう。
そういうものだからと決めつけることの危うさ、こうであるべきとの固定観念の脆さなどなど。でも多様性を受け入れるのは単純で簡単でもないことを痛感。
理解や共感だけにとどまらず、実行する覚悟と力強さを持てるようにしないと…なんて。
それにしてもベニーを演じたヘレナ・ツェンゲルちゃんの凄いこと。感情を剥き出しにするベニーに、時折恐怖すら感じてしまうほど圧倒されてしまった。。
mommyを観た時の感情に似ていたかも。
