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台風家族のRenのレビュー・感想・評価

台風家族(2019年製作の映画)
2.5
これはコントですね。長尺のTVコント。監督の市井昌秀氏が元々芸人の髭男爵のメンバーだったと知って、今作の作風にも納得がいった。

常に誰かが怒っていて誰かが怒鳴っている。クズの溜まり場。田舎の一戸建て×夏、ということでずっとじめっと熱気が篭っていて湿度が高くてムサ苦しい。
ジャケットの雰囲気とあらすじからして、『孤狼の血』ほどではないにせよ邦画特有の日本的バイオレンスが観られるかと勝手に期待していたら、終始熱量高めのコメディだった。私が中1の頃夢中で観ていた『ウレロ⭐︎未確認少女』を彷彿とさせるシチュエーション・コメディ風の映画。都合の良いタイミングで来客が来る辺りも昔ながらのシットコムっぽい。

個人的には、千尋(中村倫也)が登場して彼があることを暴露するまでの流れがヤバすぎて好き。
一鉄(草彅剛)を皮切りに、各々が自分の殻を破ると同時に文字通り彼らが舞台(家)から飛び出していくのが面白い。

しょーもない家族が、自己成長も反省も特にしないまま「理想的な家族っぽい何か」になっていく。失踪した祖父母を不在の中心として、バラバラのベクトルの集まりだった一家が何となく同じ向きを向くベクトルの塊になるまでの話。後味は『リトル・ミス・サンシャイン』と似たところがある。

構造が前述の通りコントなのでハナからリアリティを求めて作られた作品ではない....にしろ、ほぼ書き言葉のような台詞の不自然さ、スロー編集やBGMの使い方の荒削り感が目立ち、登場人物たちの熱量に最後まで乗り切れなかったのも確かだった。それなりに知名度と実力を兼ね備えた俳優陣を起用した旨みも必然性も、少なくとも自分には感じられなかった。

若葉竜也は芸達者な俳優だなとつくづく思う。演技というか、なりきるのが上手い(つまり演技なんだけど、所謂 "演技" ではない感じ。役作りともちょっと違う。形容が難しい)。彼と松坂桃李と岡田将生は、出演作していればとりあえず大丈夫な中堅俳優。あと藤原季節と東出昌大。個人の意見。



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》










なんでガイコツが繋がってんだよ。
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