櫻イミト

デボラの甘い肉体の櫻イミトのレビュー・感想・評価

デボラの甘い肉体(1968年製作の映画)
3.5
往年のハリウッド大物女優キャロル・ベイカーがイタリアで初主演したエロティック・スリラー。本作の大ヒットがジャッロ映画ブームを呼び起こしたとされる先駆的重要作。音楽ノラ・オルランディ。

アメリカの大富豪の娘デボラ(キャロル・ベイカー)とイタリアの青年マルセル(ジャン・ソレル)は新婚旅行中だった。マルセルに「元恋人スーザンが自殺した」と連絡が入る。自責の念に駆られたマルセルはデボラを連れて元恋人の家を訪ねるが、すっかり廃墟になっていた。。。

キャロル・ベイカー主演ジャッロ4本の中で最も好印象の一本だった。

ちなみに、直後にベイカー主演でウンベルト・レンツィ監督が手掛けたジャッロ三部作は、本作の二番煎じであることがわかった。「甘く危険な女」(1969)の刺殺トリックは、まるごと本作からの流用(脚本は両作ともエルネスト・ガスタルディ)。同じく「狂った蜜蜂」(1968)での音楽を用いた精神攻撃とサイケなダンスホール描写も本作で既に用いられていた。

いずれもB級ジャッロらしいシナリオでそれなりの完成度ではあるが、本作のベイカーからはイタリア初主演の意気込みが感じられ新鮮。そして個人的にはノラ・オルランディ女史によるオルガンジャズの劇伴がサントラCDを買いたくなるほど好みだった。

本作は翌1969年に日本で公開されている。当時の日本映画に見られるジャッロの要素は、本作からの影響も大きいと考えられる。
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