映像がとにかく凄い…と聞いて観に行った作品。
それなりに期待して観に行ったけれど、期待値を上回るもの凄い世界観だった。
前情報がなかったのでなんとなく昔の作品の修復版なのかと思って見始めたら「えっ!?こんなぶっ飛んだ作品が大昔にチリで作られてたの??」という感じになり、あとは勘違いも手伝って驚きの連続。
実際の素材、平面に描かれたイラスト、家具や火、さらには様々な造形物といったエレメントが三次元的、二次元的に推移しながら時空間を構築していく。
さらにはスケール感やパースペクティブ、有象無象をも凌駕していってしまうのだからさあ大変。
映像世界とその情報量が凄すぎて正直物語が全く入ってこなかった。
なんなら字幕なくても没入できるほどのパワフルな作品…褒めすぎな気もするけど、ストップモーションでの映像体験としては抜群のものだと思った。
そして恥ずかしながら観終わってからの物語の復習…とても詳しく解説して下さっているレビュアーさんに感謝。
コロニア・ディグニダというチリに実在したかなり特殊なコミュニティにインスパイアされた作品とのこと。
閉鎖的で絶対的な創始者やコミューンの掟やしきたりに抗えないシステムと指導者による定型化された少年への性暴力…なんでこの時期に?なんて邪推もしてしまうけれど、作品のモチーフがもつ複雑さを理解すると作品の様々なメタファーがより良く理解できそうな気がした。
是非とも映像化して欲しいし、されたらもう一度観たいメモリアルな作品に出会えた。
クリエイターってやっぱり凄いな。