心の中に錨が下ろされたような、そんな映画でした。製作者が、本当に作りたいものを作ったんだなとわかる、魂のこもった映画とも。
もう序盤から不穏な雰囲気しか漂っていないが、安心と信頼のスコセッシ作品。
緊張感と不安の緩急が絶妙で、久しく「映画」を観たという印象。
とはいえ3時間超えの長さを誇る本作は、一定の集中力が要求されるのも事実。我ながらストーリーに惹き込まれることが出来たのは幸運という他ありません。でなければ、時計を垣間見ながら映画の終了時間を待ち望むことになりかねないでしょう。
アメリカ先住民(インディアン)達の悲劇。
白人達の陰謀。その中で揺れ動く主人公。
重苦しいストーリーの中に紡がれる、愛の物語、と言えなくもない。
″どうせみんな忘れてしまう″
忘れてはならない悲劇、と。
忘れなかった記憶。
闇の歴史の狭間で、それでも人は生きていくのでしょう。ただ流されるままに…