3時間半近い上映時間は昨年末のアバター2を超え映画館で観た中ではおそらく最長。
だけどそれを感じさせないメリハリある展開はさすがスコセッシ。
主演のデ・ニーロとディカプリオも圧巻の演技。
世間的には篤志家を装っているが実は腹黒く暴力的なヘイル・デ・ニーロ。
根は家族を愛する善人だがヘイルに絡み取られてどんどん悪の道を進むアーネスト・ディカプリオ。
まるで闇バイトのボスと抜けたくても抜けられない大学生のよう。
冒頭の二人の出会いの場面。
アーネストは財産家の叔父をただ頼りたかっただけだがヘイルは最初からアーネストを利用して更に莫大な財産を手に入れるつもり。
その会話ひとつ互いの思惑が交錯していてかなりの迫力なのはさすがデ・ニーロとディカプリオ。
その二人と対極にある静のモーリーを演じたリリー・グラッドストーン。
初めて見る俳優さんだったがラストの「コヨーテ」と冷静に言い放ち去って行く姿、モーリー個人として、そして先住民としての怒りと悲しみの表現が見事。
ラスト、ラジオドラマに転換するのには驚いたが、音楽のない、雷や雨、虫、カエル、コヨーテなどオセージ族の周りに溢れた自然の音だけのエンドクレジットも良き。
それらも本物ではなくラジオドラマでの効果音なのだろうが。
ほぼ同じ年代に人種差別が一因として発生したオセージ族大量殺人事件と福田村事件。
金銭欲とは無縁の行動である分後者の方に人としての恐さを感じる。
やはり長時間上映の為かエンドクレジットが始まった途端に退出する人が多く最後まで観ていたのはわずかでした笑
もう一度観たいがなかなかその勇気は湧かないだろな。