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ヘイト・ユー・ギブのkojikojiのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
4.0
無実の罪で射殺された親友のために、女子高生が人種差別に立ち上がる青春映画です。

白人社会と共存していく方法を幼い頃から教え込まれてきた黒人の女子高生スター(アマンドラ・ステンバーグ)。白人ばかりの学校に通い白人のボーイフレンドと付き合う彼女は、本音の自分を殺して学校生活を送っていました。
そんなある日、幼なじみが彼女の目の前で白人警官に射殺されてしまいます。
しかも報道では、その警官の行為を正当化する発言が繰り返されます。衝撃を受けたスターは、亡き親友のため社会の矛盾に立ち向かうことを決意するのですが。

射殺の現場は、よくテレビで映されるあの場面のままです。車を止めて、調べにきた警察官は最初から不思議なくらい怯えています。黒人がちょっとでも変な動きをすれば発砲しそうなのです。
16歳の少年にここまで怯える必要があるのでしょうか。それぐらいこの地域の治安が悪く、警察官は黒人に射殺されたりしているのでしょうか。
そういう状況なら、もう少しそれを社会に知らしめるべきではないでしょうか。
私達は、黒人が取り調べで殴られたり、射殺されたりする報道ばかりを見せられています。そのため、白人のこうした行動が不思議でなりません。
幼い馴染みの彼は、警官のこうした状況にあまりに鈍感で、とうとう射殺されてしまいます。

それでも彼女は、その証言をすればこれまで築いてきた生活が完全に壊れてしまうことに怯えて黙り込むことを決意します。
しかし、学校で親友として付き合っていた友人達のこの事件に対する反応に、彼女は証言することを決意するのです。
もちろんそこには父親の教育がしっかり生かされています。彼女の名前「スター」がそれを物語っています。父親がこれを子供達に確認するシーンもすごくいいシーンです。父親はこうありたいと思います。

女子高生役のアマンドラ・ステンバーグの笑顔がチャーミングでつい見入ってしまいます。しかし、彼女が、抗議のデモ行進の先頭に立ってマイクを握るシーンは、その笑顔と怒りのギャップに思わず感動で泣いてしまいました。
残念なのは、彼女の恋人クリスがもう少し私の好みの男の子だったら思います。

いろんな人種差別の映画を観てきましたが、この映画はこれまでの映画と全く違った青春映画でありながら人種差別がメインテーマという一風変わった映画です。
良作です。

No.1520 2023-553
2018年 アメリカ🇺🇸映画
監督: ジョージ・ティルマン・ジュニア
原作: ザ・ヘイト・ユー・ギヴ: “あなたがくれた憎しみ”
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