kojikoji

女は二度決断するのkojikojiのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.8
No.1683 2017年ドイツ🇩🇪映画
監督はファティ・アキン。
この監督作品は初鑑賞。
サスペンス映画だが、監督の強いメッセージ性を感じる作品だ。

 クルド系移民のヌーリと結婚したドイツ人妻カティヤ(ダイアン・クルーガー)は子供も生まれ平和な日々を過ごしていた。
ある日、カティヤは友人とエステへ外出するために、息子をヌーリの事務所に預ける。彼女は事務所を出る時、鍵もかけないで立ち去ろうとする若い女を見かける。
彼女は鍵をかけないと物騒だと声をかけるが女はそのまま立ち去って行った。
夕方、彼女が事務所に戻ると通り一帯が警察によって封鎖されており、事務所は何者かに爆破されていた。そして現場で発見された身元不明の遺体がヌーリとロッコのものであると告げられるのだった。
犯人はあの女に違いない。彼女は確信する。

 この物語の始まり方と題名から想像すると、当然復讐劇に違いないと思うのだが、犯人はあっさりと捕まり、法廷劇になっていく。
 長々と法廷劇が続く。被告に何も語らせず、弁明をするより、どちらかというと訴えた側の粗探しばかりしているようで、裁判の内容があまりうまく描けていない気がする。特に、弁護人に対するイライラがつのり、少々退屈してしまった。
ところが、ラストは題名通りの展開が待っていて、俄然面白くなる。
 女は確かに、二度決断することになる。

 主人公カティア役のダイアン・クルーガーがいい。愛する夫と息子を亡くした妻のやり場のない悲しみ。それに耐えていく演技が秀逸だ。

 ドイツで起きたトルコ人移民に対する連続殺人や爆弾テロを行っていたネオナチ組織、国家社会主義地下組織(NSU)の事件を下敷き作られたこの作品。ただでは終わらないラストに監督の思いを強く感じた。
kojikoji

kojikoji