悪魔の毒々クチビル

脱出の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

脱出(2017年製作の映画)
3.8
生き残れ

監獄にとある犯罪者を移送した警察の部隊だが、そいつを口封じの為に殺そうと何やかんやで脱走した囚人達と闘うお話。


カンボジアのアクション映画です。今のところネトフリ配信のみですね。
聞き慣れない言語だったので調べてみたらクメール語らしいです。中々出てこないよね、音声選択にクメール語って。

主人公のリーはパリから来たという設定ですが、他のメンバーにはカンボジアの武術ボッカタオを使うお兄さんがいて初めて観る武術でしたが脚技や関節狙いの技なんかはシラットやムエタイっぽさもありました。

四面楚歌の状況下で脱出を試みるって流れはマイベストアクション映画である「ザ・レイド」を彷彿とさせますが、あちらと比べようとするとバイオレンス描写が圧倒的に劣ってしまっています。
例えば首を捻って折るシーンはめっちゃ雑ですし、収容されている極悪人の中に殺人鬼ならぬ食人鬼のおっさんがいますが当然カニバルシーンなんてないしモブ看守の喉を喰い千切る場面もほぼ血すら出ていません。
あとまんま劣化版「ザ・レイド」になるのを避けようとしてなのかは知りませんが、何回かコメディ的な要素があってこれは本当に邪魔でした。
作風をアクションコメディにすると言うよりは、ポツポツとコミカルなシーンを挿入していたので元々面白くないネタが更に滑っちゃっていました。要らん要らん。
特に護送されてきたおっさん通称プレイボーイがマジでコメディキャラの鬱陶しいおっさんなんですが、主人公側からは仕事なので警護される立場だし敵には狙われる存在なので無駄に出番も多くてうざったい。

ただアクションはメインキャストが基本動ける人ばかりなので、普通に格好いい。
主人公vs脱走した囚人グループを経てそのまま主人公チーム4人+看守と大量の囚人で、5対25くらいの大乱闘に勃発して各々の強さをしっかり見せつける派手なシークエンスになっていて良かったです。全体的に脚技が印象的でした。
道案内の看守に関してはこんなザル警備の監獄の人だし完全に殺られ要員だと思っていましたが、この人も強くてちょっとびっくりした上に気づいたら何故か一番応援していました。
チームの紅一点タロスがめっちゃキレの良い動きで、シュバッ!と構える姿がめっちゃ格好良かったですしこれまで観てきたアクション映画の女性キャラではトップクラスの良さでした。
どうやら総合格闘技の選手だそうで。
あと主人公側のメインキャラは殆どが役名と俳優名が同じでした。

動き自体は良かったんだけど、先のバイオレンス描写の弱さだけでなくバチバチにシバき合っている様に見える絶妙な距離感を保てていない瞬間がちょいちょいあってここも勿体なかったですね。

敵側も食人鬼おじさんや戦闘狂の謎の黒人等、個性的なキャラが多いんだけど他にも監獄内で対立しているギャングに加え、プレイボーイを始末しに女ギャング集団がわざわざ外から監獄までやって来たりと勢力が多すぎてキャラが渋滞してしまっていて逆に難点になっていました。もうちょい活躍が観たい敵さんもいたのに。
なのに主人公が闘うラスボスのおっさんが一番動き悪いっていうね。のっそりしたパワータイプってことで食人鬼おじさんと被ってるし。
因みにその食人鬼おじさん、自分のタマすら喰ったと言うことで金的が一切効かないのはちょっと面白かったです。

ラストも色々と適当なんだけど、アクションの量がかなり多くて文句はあれど全然楽しめました。
因みに恐らく大体格闘技経験者なんだろうなと思ってキャストを調べたんだけど、女ギャング集団のボスの日本刀使いおば…お姉さんが元ポルノ女優だって知って無駄にびっくりしました。
単なる名前被りだと思って一応確認したら同一人物でしたね。
アクション映画で気になった人を調べたらその人がAFしている動画が出てきちゃった事なんて生まれて初めてだったから、上手くリアクションが出来なかったの……