にしやん

タロウのバカのにしやんのレビュー・感想・評価

タロウのバカ(2019年製作の映画)
1.5
何かちょっと古いんとちゃうか?ネグレクトとか援助交際とかが話題になり始めたんって1990年代の頃やもんな。この台本が書かれたんかてどうも1990年代らしいわ。なるほど。確かにこの映画、怒りと暴力しかあれへんもんな。今は2019年やで。流石に怒りと暴力だけでは映画のテーマとしてはちょっと古臭いし、正直物足りんわ。

まず冒頭の一連のシーン。最後に回収されるかと思たら、回収なし。投げっぱなしや。國村隼は何しに出てきたんや?それと、ダウン症の子等も結局なんやねんな?よう分からずじまいやし。とにかく投げっぱなしが多すぎる。

YOSHIっちゅう新人が演じる主人公(?)の少年タロウ、本名は不明。戸籍もあれへん、いっぺんも学校に行ったことないとのこと。オカンが2回ほど出てくるけど、オカンが何をしてんのか?なんでタロウが学校へ行ってへんのか?なんで戸籍もないんか?一切説明なしや。

菅田将暉演じるエージがグレる理由の説明はなんとなくはあるけど、兄貴がちょっと絡む位で家庭の説明は一切なし。このエージはとにかく手ぇがつけられへんほどの乱暴もんや。何がそこまでにさせてるんか詳しくはようわからんけどな。本作の怒りと暴力はタロウのもんやなしに主にエージのもんやわ。仲野太賀演じるスギオは、エージに連れて行動してるだけ。このスギオだけは内面の変化がそこそこ描けてたかな。

この映画出てくる人物がほぼ全員、少年3人だけや無しに周りのもんかて殆ど何も考えてへんし、常に衝動的な行動ばっかりしてるさかい、ストーリーがなかなか前に進まへんわ。それにエージの演技やけど、演出の問題とはいえとにかくブチ切れの一本調子で単調の一語に尽きる。タロウかて演技がどうのこうのっちゅうレベルやないしな。流石にエージのブチ切れ一本調子だけでは2時間の映画は持たへんで。途中で飽きてしもたわ。

それに、今の時代やり場のない怒りと暴力だけでは観てるもんの共感も得にくいわ。台本の書かれた時代に映画化するべきやったんやろな。今更感が漂ってるわ。それと、この三人やけど普通に食うていけてるんやからな。1990年代はまだまだ豊かやったんかもしれんわ。今の世の中を覆う貧困の要素が薄いだけましかもな。

それはそうと、菅田、太賀もそろそろ高校生きついやろ。いつまで演らせんねんな。芝居巧いんは分かるけど、ちょっと寄っかかり過ぎとちゃうのん?監督さん、演技が達者な役者を使て自意識をぶちまけるんも程々にしたらどないや。もうそんな歳でもなかろうに。もっと他にやることあんのとちゃうか?どやろ?
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