akrutm

環状線の猫のようにのakrutmのレビュー・感想・評価

環状線の猫のように(2017年製作の映画)
4.0
ローマ郊外の再開発計画に携わるシンクタンクに勤める男性と、郊外の貧困地域の団地に住む女性が、お互いの子供が恋人どうしになったことから出会って、いがみ合いながらも徐々に理解し合っていく姿をユーモラスに描いた、リッカルド・ミラーニ監督のコメディドラマ映画。

スターチャンネルで「ゴー!ゴー!パオラ!~イタリア娯楽映画の進行形~」という、イタリアの著名なコメディエンヌで女優のパオラ・コルテッレージが主演する作品を特集放映していたのを鑑賞。なお、パオラ・コルテッレージは本作の監督リッカルド・ミラーニと夫婦である。

フランスではパリ郊外の貧困地域を描く映画は珍しくないが、イタリアの郊外映画は結構珍しい。(日本で公開されていないだけかもしれない。)だからといって、社会派映画というわけではなく、薄口の恋愛ドラマはあるものの、全編を通じてコメディである。パオラ・コルテッレージが演じているのは、郊外の貧困地域に住んでいるヤンキー然とした主婦モニカで、登場シーンからインパクト大。(ペネロペ・クルスがこういう役をやっても似合いそう。)相手役の男性ジョバンニを演じるコメディアンのアントニオ・アルバネーゼとともに、軽快でコミカルな演技を見せてくれる。しかも、イタリアのコメディ映画によくある(個人的な印象にすぎないかもしれない)大げさな感じはなく、さらりと楽しんで見ることができるし、なかなかおもしろかった。彼女はコメディエンヌとしての能力がとても高そうなので、他の作品も見てみたい。ちなみに本作には続編があって、それもスターチャンネルで放映済である。

それにしても気になるのはタイトルの意味。邦題は原題をそのまま訳しているようだが、この比喩がよくわからない。「環状線」がローマを囲むように走っている環状高速道路GRAを指しているのは分かるが、「環状線の猫のように」とはいったいどんな状態なのだろうか。イタリア語 Wikipedia のページを調べると「環状線の猫のように(愛が)続く」と書いてあった。環状線には終点がないのでずっと続くという意味らしいが、どこか腑に落ちない…
akrutm

akrutm