アキラナウェイ

男と女、モントーク岬でのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

男と女、モントーク岬で(2017年製作の映画)
3.2
たまにはこんな、大人の恋を。

来月70歳となるステラン・スカルスガルドが、いまだラブストーリーで主演を演じられるって、なかなかに凄いと思う。

監督はフォルカー・シュレンドルフ。「ブリキの太鼓」をいつか観てみたい。

北欧出身でベルリン在住の人気作家マックス(ステラン・スカルスガルド)は、NYを訪れ、其処でかつての恋人レベッカ(ニーナ・ホス)と再会する。彼らは思い出の地ロングアイランドの最果て、モントーク岬に向かう—— 。

ほうれい線がやや気になるものの、ドイツ人女優ニーナ・ホスが美しい。ステランパパとは、実質20歳以上離れているのね。

いつまでも、かつての恋を引きずる男。
不意に現れた過去の男に、つれない態度を取る女。

そうそう、男なんてそんなもの。

別れたとは言え、別れたままは嫌なんだという彼の言い分は何とも手前勝手な都合だなと思う。

追憶に目が眩んだ男は、手前勝手に突き進む。

元恋人の職場にアポ無しで会いに行き、
夜の11:45に自宅を訪問し、
自分にはパートナーが居るのに連絡も無しに外泊する。

そうか、恋愛なんて所詮手前勝手なもんなのか。

男は過去を美化し、今のパートナーと別れてでも、やり直そうと持ち掛ける。

しかし、時は前にしか進まない。

女は別の恋人を亡くし、その心には深い傷を負ったまま。

「君はフリーじゃないか」という男に対し、今の自分を「フリーじゃない」と語った彼女の言葉には、思わずハッとさせられた。

彼女の心はいまだ亡くなった彼に囚われているのだろう。

真剣だった男と
純真だった女。

あの頃すれ違ってしまった彼らは、
再び結ばれたのに、またすれ違っていく。

岬とかいいやん。
海辺とかいいやん。
ロマンティックでいいやん。
残念ながら僕には思い出の岬なんて、

ない。

モントーク岬の海がひたすらに青く美しかった。その情景を映し出すだけで、作品は詩的で叙情的な仕上がりに。

たまにはね。
大人ですからね。
こんなのも観る訳ですよ。