※後半は「IT」のリアル脱出ゲーム体験記です。
律儀にも27年ぶりに復活したピエロが、リア充たちにボコボコにされる話。
昭和世代しか分からん例えだと思うが、27年といえば、あと1年で横井庄一さんもグアム島から帰ってくるほどの長い年月。
80年代当時13歳だった「ルーザーズ」たちは、40歳を超え……それぞれ、社会的にも成功している。
ピエロが27年ぶりに現れたというのに、ちゃんと覚えてくれてて、驚いてくれる「ルーザーズ」たちも優しいよね。これがハローワークにいる麻生太郎だったら、
「27年間も、お前、何してたんだ?」
って、ピエロくんの心を抉りそうんだもん。少なくとも「誰、お前?」って言わなかっただけでも評価できる。
まぁ、ピエロくんも、野球場で、子供に「キモっ」て言われて泣いちゃうくらいのメンタル弱いコドオジなので、昔懐かしい「ルーザーズ」をターゲットにしたのは正解だったかも。
「ルーザーズ」も80年代は、男6人に紅一点だったのが、現代では、一人男減って6人になってて(成功してるにしても)弱体化してそうだしね。個人的には、一人「ルーザーズ」が減った分、90年代からタイムスリップしてきた阿部サダヲを、メンバーに入れてあげたら、より面白くなったと思う。
というわけで、俺的な見どころを3箇所、挙げておく。
1.前作にもましてザコな仲間たち。
前編の感想で、
「ピクサーに土下座して、ピエロくんと同じく『子供たちの恐怖を集める』、『モンスターズ・インク』の毛むくじゃらと目玉くんに出てもらったら良いんじゃない?」
と助言しておいたのだが、どうやらピエロくんは27年間ウトウトしてたことで、俺のアドバイスを聴かなかったようで、今回もクソみたいな仲間に囲まれてる。
例を挙げると
・中華料理に紛れ込むトコジラミみたいな奇形種の虫
・「進撃の巨人」でボツになったっぽい巨人の出来損ない
・「漫★画太郎」の漫画から出てきた萎びたオッパイのババア
・「マイエレメント」の頭が燃えてる女の子のパチもん
・「遊星からの物体X」の↓コレ
カサカサ
/\彡⌒ ミ/\ 三 三
/\(´・ω・`)/\ 三 三
・ポメラニアン
と、いまいち戦力にならないザコ連中ばかり。実際、後半はほぼピエロくんがワンオペで、リア充「ルーザーズ」たちと戦ってるし……これ、前編と同じ展開やんけ!
ただし、ワンコ(ポメラニアン)だけは可愛かったので許す。もう、味方は全部、ポメラニアンだけで良かったんじゃない?
2.大量に出てくる風船
前回で風船マニアから
「風船の数が少ない!」
とクレームが入ったのか、今回はジャケ写でも分かるように、風船マシマシ。大量の風船が出てくる。
おそらくピクサーの「カールじいさん」を勝手にライバル視してると、俺は推測するね。これだけの風船を27年間かけて地道に集めて、子供たちを喜ばせようとしていたピエロくん、マジ天使。
後半、風船がめっちゃ膨らんで、巨大化するシーンがあるのだが、もはや風船というより
「グーグルマップのピン」
みたいになってた。今後、リアル「グーグルマップ」ごっこをするときは、ピエロくん引っ張りだこになりそう。
3.ボッチ度の増したピエロくん
27年ぶりに登場したこともあり、張り切って「ルーザーズ」に下水道で戦うピエロくん。
特に後半、魔改造されたプラモデルみたいな変な格好になってまで襲ってくる姿は、迫力満点。どーでもいいけど、下水道、広すぎて、もはや「ムー」にたまに載る「幻の地下帝国」くらいの広さあったよね。ちょっと、俺も東新宿の狭いアパートから引っ越したくなった。
ピエロくん、こんなに頑張ったのに、結局、リア充「ルーザーズ」連中に
「ピエロのくせに!」
というなんか無茶苦茶な糾弾を浴びて、あっさりと敗退。「ルーザーズ」連中の、ピエロくんへの罵声の浴びせっぷりが、怖かった。お前ら、共産党かよ……。
てか、いかにハゲのキモいコドオジとはいえ、大勢の大人で寄ってたかってイジメていいの? 最後には、ピエロくん、小さくなって震えてるし……。このへん、ピエロくんが、可愛そうで仕方なかったです。
ちょっとネタバレだが、ピエロくんの
「みんな、大人になっちゃったのね……」
って悲しい台詞は、これ絶対、「劇画・オバQ」のオマージュ。
しかしピエロくん。ここまでボコボコにやられて、また27年後に、ピエロくん、メイン州のデリーに出没するんだろうか。そもそも、メイン州なんて人口130万人くらいしかいないのね。その片田舎にあるデリーなんて、ジジババばかりの限界集落みたいになってるだろうし、ピエロくんが27年後に、復活しても
「子供いねぇーーーー!」
って愕然として、また65歳になった「ルーザーズ」連中に粘着してそう。
原作を読んでいる俺としては、[前篇][後編]観て、
「紅一点のヴェバリーが、全員と✕✕するシーンがねーじゃねーか」
という不満はあったものの、原作の世界観はよく再現できてたし、チャリで「ハイ・ヨー、シルバー!」って駆け抜けるシーンはエモくて涙でたし、スティーブン・キングもリサイクルショップのオヤジで出てくるしで、俺得な作品ではあった。阿部サダヲとピエロくんの対決がなかったのは残念だけどね。
関係ないが、新宿の映画館で、たまにタイガーマスクのお面を被った「新宿タイガー」さんが、映画鑑賞をしているのを見かける。
ピエロくんも、「ルーザーズ」を逆恨みして無理に対決したりしようとせずに、新宿ピカデリーあたりの最前列で映画だけ観てれば、27年ぶりの地上を楽しく過ごせただろうに……と同情を禁じえない。
【ラスベガスにある「IT」のリアル脱出ゲーム】
というわけで、ここからは、先日ラスベガスに、とあるコンサート観に行ったついでで立ち寄った映画「IT」を題材にしたリアル脱出ゲーム「ESCAPE IT」の体験記。
https://escapeit.com/
同じラスベガスに映画「SAW」のリアル脱出ゲームもあるのだが、今回は(ちょうど映画も観たことだし)
「ちょっと、行ってみよう」
という気持ちで「IT」を体験することに(※「ちょっと」と「行って」と「IT」を掛けた、ダジャレではありません)。
■ 会場まで
中心街からUBERで10分程度北上。たどり着いた会場は、大きめの公民館みたいな建物。ここで良いのか? としばしウロウロ。
よく見ると、建物の看板には「THANKS FOR THE MEMORIES OF DERRY!」と書いてあり、入り口の横に飾ってあるポスターには「ルーザーズ 伝説の7人を称えて」みたいなアオリと、7人の後ろ姿の写るポスターが。
「IT」のロゴも何も使わず、ここからすでに、「IT」の世界を入ってるよー、ってことなのかな。オシャレというか、クールな演出だなーと感心。
そうこうしてると、お兄ちゃんが建物から出てきて「15時の予約はお前らか?(※知り合いと複数人で参加しました)」と声をかけてくれる。
中に入って受付を済ませる。ゲームは「IT」前編をテーマにした「THE SEWER(下水道)」と、後編をテーマにした「THE FUNHOUSE」という2つがあるらしいのだが、今回は前者にトライ。一人55 USD(約8000円)。
受付には、「インベーダー」や「ドンキーコング」といった80年代のゲーム機が並んでいて、まるで80年代のデリーに戻ってきたかのよう。もちろん、これは「IT」の登場人物の一人が、ゲーセンに入り浸っていた……というエピソードを想起させるもの。
受付では「何があっても自己責任です」みたいな承諾書に、サインをさせられる。一箇所にサインするだけではなく、文章のところどころに空白が空いてて、それ全部にイニシャルを入れるという徹底ぶり。さすが訴訟大国、アメリカ。
というわけで、15時になったので、入場。
■ ゲーム開始
ウェブサイトによると、敷地面積は3000平米以上、中に仕掛けてある部屋は20以上。
日本のリアル脱出ゲームだと、一つの部屋に閉じ込められて、そこで色々な謎を解くことが多いが、この「IT」は、むしろ「お化け屋敷」のコンセプトに近い。富士急ハイランドの「戦慄迷宮」みたいな感じ。
最初の部屋では映像でのイントロダクション。
メイン州の消防隊員から「子供が下水道で行方不明になったので、一緒に探してほしい」と説明が。それを観たのち、実際に現れた消防隊員の人から「下水道はこっちだ」と誘導されて、そこでちょっとした仕掛けを解き、下水道の奥へと向かう。
俺らみたいな英語できないアホでも、お兄さんがめちゃくちゃ親切にヒントを出してくれるので、一部屋5分くらいで通過できる。いやホント、お兄さんいなかったら、おそらく5分でピエロに惨殺されてたと思うので、お兄さんありがとうございました。持つべきものは、イケメンの消防隊員のお兄さん。
あまりに親切だったので、ゲーム終わって感想を送るときに、ピエロの怖さではなく
「お兄さんが親切でした」
と書いてしまったくらい。
内容のネタバレは避けるが、下水道から始まって、中庭だったり、ガレージだったり、馬小屋だったり、さまざまな部屋を、謎を解きながら進んでいく(といっても、解いたのはほぼ、お兄さん)。どれも、めちゃくちゃ作り込んであった。
前半はピエロあんまり出てこなくて、行方不明の子供じゃなくて、ピエロを探したくなったが、後半はピエロが鬼の首を取ったかのように出てきてくれたので、大満足。
一つだけネタバレしとくと、「IT」で印象的だった「怖い」「怖くない」「すごく怖い」のドアが完全再現されてたの、めっちゃ嬉しかった!!
もちろん、自分が開けたのは……「すごくエロい」ではなく……「怖くない」でしたが、十分怖かったっす。
■ まとめ
体験時間はおそらく1.5時間くらい。「IT」の世界を抜けると、そこはグッズ売り場。グッズ売り場の奥には映画「IT」で使った本物の自転車や、折り紙とか写真、ピエロの衣装なども飾ってあって、これも映画観た人は絶対嬉しいヤツ。
最初行く前は「怖いからヤダな……」と憂鬱だったけど、終わってみると、お兄さんも親切だったし、作り込みもメチャクチャ凝ってて、大満足でした。
「SAW」のリアル脱出ゲームも、同じクリエイターが手掛けてるらしいので、次回、もしラスベガス行く機会あったら、「SAW」も絶対に行く! と思いました!
(おしまい)