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越後奥三面 山に生かされた日々
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『越後奥三面 山に生かされた日々』に投稿された感想・評価

大越

大越の感想・評価

4.5
日高や南アルプスと並んで日本で最も山深き場所の一つ、新潟と山形の県境に位置する朝日連峰の最深部、平家の落人伝説も残る小さなマタギの集落がダムに沈む。その直前の数年間、古来の伝統のもとに自然とともに暮らす人々を撮ったドキュメンタリー。日本の基層文化を撮影した貴重な作品。テレビでやってる日本礼賛愛国ポルノ番組では映すことのできない日本の真の姿がここにある。

これが撮られたのは80年代初頭。たった数十年前までこれだけの濃度の文化が残っていたことの衝撃。そしてそれが全て失われてしまったことの絶望。山に生き山に生かされる日々とはどういうものなのか、「自然と共生する」とはどういうことなのか。安易に消費され続けているそのイメージの実態を理解する一助にこの映画はなる。里の人々は良くも悪くも山の恵みに依存し生きている。それはどのような意味を持つのか現代の都会に住む者達には簡単に理解はできない。

例えば1年は同じ1日が365回繰り返されるものではなく、異なる機能を持った各日々の集合体であると実感するのは難しい。収穫期と農閑期の1日は行う仕事からなにから全く異なる1日である。日の長短のように毎日のやることは少しずつ変わってゆく。1年というサイクルの中で祭りなどの行事はしかるべき時期のしかるべき日に行われる。集落を囲む自然がそれを決定する。暦とは本来そのようなものであった。

しかし毎日がフラットに均質化されその機能を奪われてしまった都会では四季すらも感じることは難しい。街の隙間に桜が咲くだけの都会の春と、冬芽が膨らみ山々が日々薄赤色を増して若草が生え始め、虫や鳥や全ての生き物たちが穴から出て世界が色を取り戻し始める山の春は、果たして同じ春なのだろうか。昨日よりも青が濃くなっていく山に囲まれずして果たして夏か。真っ赤に燃え盛る紅葉が縁側越しの視界全てを埋め尽くさずして果たして秋か。降り積もる雪が世界の音を消さずとも果たして冬か。都会に四季はあるのだろうか。今の生活を見返さざるを得ない。

私は南アルプスの麓で育ったが、当時東京から越してきた人が「ここは情報が多い。」と言っていたことの意味が、上京して初めてわかった。東京には初夏を告げる藤の花もマタタビの白い葉も見当たらないし、通学路でヤマブドウやキイチゴの熟れ具合を毎日確認しながら実りの秋を過ごすこともない。都会では今日がどんな日なのか世界が訴えてかけてくることはほぼない。

山から逃れることのできないこの集落の人々は、日々移り変わり行く山々に寄り添って生活を営む。山は毎日その変化を叫ぶ。山が変わるからこそ毎日は異なる機能を持つ。実態としては自然に支配されていながらも自然と寄り添う:「共生」しているように見える。そこに至るまでの文化の地層に圧倒される。人間の歴史の積み重ねとはなんと偉大なものであったのか。それを全て投げ捨てて私達が手に入れたものはなんなのか。日本の都市人口率92%、国土のうち山地は3/4という事実がとても重く感じられる。
今年、最も目をみはらされた映像作品、いや(長編記録映画)作品と呼ばない方がいいのかも知れない。オルミの様に持ち前の鋭い力を、素朴な手付きに置き換えてる、手練があるわけでもない。タッチは(車窓やフォロー)移動にしても、(空撮)遠景にしても、手作業手元アップ重ね追いにしても、角度とサイズの感覚的切り替えにしても、作業と囲む自然の絡み醸し出す空気と流れ追いにしても、インタビューや作者の説明語りにしても、只ひたすらベタである(意図的ローアングルらもあるが)、同時にスピーディで無駄なく坪を心得、味わいと吸引力は残るという感じで、凝った映画ファンお断り感(数年間·何回も訪れたスタッフ)。文化·歴史·生活·日常·共同体·自然を多分に吸い取り、その境界のない一体を活かし共生してきた部落が、県のダム化への反対運動も潰えて、水没秒読みになっても生活は明日の自然とのコラボに向いてる、あり方に小川プロ的な社会と土着のジレンマから、抗議·或いは冷静に可否を検討する、知性が浮き出るわけでもない、作。
冬場は完全に周りから遮断される、朝日連峰内の、40軒150人小中学生11人の部落の、正月·盆に限らず、季節や収穫物の変わり目に、(神社を通しもす)山神への感謝·御礼(松や家族人数分の芋?刺し飾りから、百万遍念仏の集まりまで微細)の行事。三つの出自が混じって数百年の、収穫や生活の改良の不断·怠らなさの成果、一方サブとなった収穫方法へも感謝と愛着から引き続き、効率や金銭化よりも、1人一代の感覚ではない、太古と完結環境から、考えるより身体を動かさせる、一時も余計な空きのない状況が続く。交通遮断を考え、一年以上前から、薪·茅·保存食は蓄えられる。水や土地の問題で反当たり収量の少なかった田は、水引きや肥料で戦後で特に大巾アップ。田植や稲刈り·脱穀には町に出てる若い衆も戻り手伝う。多彩な山菜にも目を配り慈しみ、特にゼンマイは用意周到準備、春先の1ヶ月家族が河畔に小屋住まいの採集·洗い·天日干しサイクル集中で現金収入の半ば。昔ながらの焼き畑も規模は小さくなったが、続けており、蕎麦から粟らへ3年で自然へ一旦戻す。嘗ての主食、粟や稗も続けてる。立派な栗山が背後にあるが、これも人力で密にした。栗系の保存の雨に打たせるも独特。嘗ては熊を捕るマタギの収穫が大で、領主らに献上して、米らに替えた。熊らを捕る仕掛けも壮大なもので、下着なく毛皮や木綿による雪山に熊を求める衣装も真に効率的。丸木をくりぬいての船作りと麓への運びも協力が大事。川には、(先行小規模)ダムが出来るまでよく鱒らが川登りで豊富だった。各地場は、大事な権利財産。自宅や小屋は自力で、雪対策や補修を行い、そこで使う茅はそれまでに既に色々役立ってたもの。一方、味噌作りの大豆はともかく、塩は海ある地方との交流あってこそ。
とにかく、デジタル化で彩度が上がってるにしても、楽しく鮮やかな、自然や衣装の緑や赤の息づき。こまめに身体動かさない時ない、女らの常に楽しげで喩楽沸き立ち満ち。危険も大きな枠固めを行ってる男らの気概の力。犬や猫と、仕事や行事に参加らの子ら(ゼンマイ狩りには、10日間の学校休暇)の自然な弾み。皆自然が好きで、ここでしか生きられない気がし他の生活は考えられない、と常々感じてるが、直に伝わる。自然に畏敬と感謝の念を絶やさず、自然と共に生き·闘い、他所からの援助なく、完結しつつ発展してく関係。
まるで万華鏡の中にいる様な生活だ。個人的にも、父親は塾を経営してたが、祖父母は金にならない百姓だったので分かるところもあるが、こんな自然と共同体·山神?との絶え間ない交感、それらの高めの物質=精神宇宙は我々の日常からは考えられない。現金や効率·娯楽らの生活がいじましくみすぼらしく見える。ダムも目の前の事しか考えてない行政の愚行で、部落の数百年の歴史の前には瓦解すべきレベルのもの。これから間もなく消えるにしても、たかが40年前こんな生活が残ってたとは。囲炉裏·茅葺き屋根·熊捕り·川魚·山菜。作品というよりその世界の現出に只驚く。住民は文化と文化財保存にも動いてる、自信の拠り所が伝わる。この生活様式に戻れと言うのでもない、先を見定める上でこの視点·視座は失ってはならない、というレベルにしても、困難·障害が正確に見えてくる気がする。桃源郷等ではなく、強い現実が、今とも繋がってる。
to

toの感想・評価

5.0
5/16(木)夜20時の回が満席。びっくりした。
久しぶりのポレポレ東中野。
レイトだし、昔のドキュメンタリーだし、すいてるだろうな、と思っていた。
え、なんで? なんでこんなにお客さん来てるの?
上映後のトークでも、登壇者(故・演出家の弟子)が驚いていた。
なんでみなさんこんなに来てくださるんですか、と。
人気は今日だけではないらしい。
今回の上映は明日までだけど、急遽、7月のアンコール上映が決まったらしい。

私は、昔の日本の民俗学的な本を読んでいたので(「ものいわぬ農民」や宮本常一の紀行本)、映像で見られればラクだなと思っていた。
東北、好きだし、よく行くし。
テレビでも「甦る新日本紀行」とか好きだし、福岡のテレビ局による古いドキュメンタリー「祭りばやしが聞こえる」とか大好きだ。
Twitterでも古くから残る日本の風景とか路地好きの人々をフォローしてるし
鉄道も、やはり古い国鉄車が人気だ。

これまで、会社帰りに見られる夜の回がなかったけど、今週はレイトなので、サービスデーの木曜に来た。

越後、といえば新潟かと思ったがそうではなくて
山形の山のなかの集落、奥三面(おくみおもて)が舞台だった。

1980年〜84年くらいに撮影された映像。
当時、自分は中学生で、80年代アイドルとかチェッカーズとかが普通に流行っていた。

雪深い奥三面では、暮らしの様々なことを集落のみんなでやる。
春になると家族でぜんまい採り。わざわざ、小屋に住み込んで、家族総出で働く。

自分もたいがい田舎だったけど、東北の山村は、もっと、昔ながらの生活だったんだなぁと、いま、知る。

クマをとって、解体したり、山に感謝をささげたり。
丸太で舟を作ったり。
茅葺きしたり。
百万遍をしたり。

2時間半もあるので、様々なことが丁寧に描かれる。
その奥三面は、その後、ダムに沈んだ。
今はもうない。

かろうじて、知っている気がする、昔の暮らしを、映像で確かめる。
あれはなんだったのか、俯瞰する。
改めて知る。

大牟羅良「ものいわぬ農民」で知ったように、村人たちは、表だってはいわない本音をたくさん抱えている。
だからドキュメンタリーのカメラに映るのは一部であり、表面である。

この映像をつくった姫田さんは、事前に調べていくけれど、現地では、一歩も二歩もさがる、という人だったという。
調べたことが、現地で知識として出ることを、よしとしなかった。

自分が主体となって感じる、のではなく、現地の人に教えてもらう、のだという。

また、自分のことを監督と言わなかったそう。スタッフみんな同じ立場ていう考えだったから、と。

昭和レトロブームは確かにあるけれど、このような古いドキュメンタリーも注目されていることから、私たちは、単なるノスタルジーというよりは、日本の、自分たちの来し方を今いちど確かめて、知らなかったことも知りたい、そして大人になった今の自分たちなりに理解をしたい、という欲求があるのではないかという気がする、そのためには、このような、貴重なドキュメンタリーをスクリーンで見られる、限られた機会は逃せない、ということで、多くの人がわざわざ足を運んでいるのではいだろうか。という気がする。

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