逃げるし恥だし役立たず

エジソンズ・ゲームの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
2.5
発明王・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)と実業家・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)との送電方式を巡る19世紀末の"電流戦争(The Current War)"を題材にした伝記映画。率直に云えばNHKお得意の歴史的ドキュメンタリーの方が完成度が高い。
発明王としては天才だったエジソンがダークな経営者に対してウェスティングハウスは人格ある経営者という設定で、ストーリー的にはエジソンの反撃を期待していたのだが、如何せん事実を曲げることはできず、所詮は伝記モノの枠組から抜け出せていない。其の癖、不自然な映画的演出が入る何か変な印象の作品である。偉人以外の脇役も描かれた群像劇のためテスラにも踏み込んで欲しかったのだが、本作はハーヴェイ・ワインスタイン氏により翻弄された経緯があり、紆余曲折の末にケチが付いた作品に望む術もなく、まあ無理矢理でも映画化出来て良かったと云うべきか。
ワインスタインによるレオン監督への執拗な編集の要求の末に完成したがトロント映画祭での悪評からエジソンを偏屈な人物像に再編集、其の中で例のハラスメント騒動(MeToo運動)が勃発して公開が中止、配給会社は破綻、映画の権利は売却、やっとの思いで製作総指揮のスコセッシの協力を得てから、漸く監督の思うように編集ができ、更にはテスラが特許を騙し取られるシーンを追加で撮影することができた。原題に「Director's cut」が付いているのは其の様な理由らしい。
いっその事、全てを中止して、本編作成を軸としたハラスメント騒動を巡るワインスタイン氏を映画化した方が面白かったのでは…