聖なる啓示か悪魔の仕業か
澁澤龍彦の「映画論集成」を読んで、ずっと観たかった作品。配信になって嬉しい。
ある日突然、ブルジョワ一家に謎の青年がやってくる。一体何者...?その魔性の魅力に家族全員が虜になり、身も心も囚われる。ところが突然青年は去ってしまい、家族は崩壊していく..という設定は一見単純明快な、パゾリーニ監督の寓話的な物語。
視線、視線、視線、、
1人の青年を家族全員とメイドがじっとり見つめる...
眼差しを通した欲望の描き方が凄い。
脱ぎ捨てられた服にまで彼を感じる妻の感覚がerotic。
家庭劇という閉鎖的な環境設定が緊張感と謎を生んで、ちょっとドキドキした。
青年の背後に後光が!
誘惑に応え平等に愛を与えるのは神なのか。
喪失感を与え人生を狂わすのは悪魔なのか。
前半と対照的な後半もまた目が離せない。
猥雑でショッキングな家族の姿に、観ているこちらも叫びたくなった。笑
ただ一人、違う道を歩む人間がいるというところがこの作品の重要なところでしょうか。
時折り挟み込まれる火山の映像といいモーツァルトの『レクイエム』、エンニオ・モリコーネの音楽が凄くカッコいい。