藻尾井逞育

探偵はBARにいる3の藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

探偵はBARにいる3(2017年製作の映画)
4.0
「とりあえず生きとけ。生きてりゃそのうちなんかあるさ。なんかって、命を燃やすもんだよ。それまでとっとけ」

この街の裏も表も知り尽くす探偵のもとに、相棒である高田が人探しの依頼を持ち込んでくる。失踪した女子大生・麗子について調査を開始した探偵たちは、モデル事務所の謎めいた美人オーナー、マリに翻弄されるうちに、いつしか大きな事件に巻き込まれていく。

今回も札幌ススキノ、地元密着型ハードボイルド、バディものです。今作より監督が橋本一さんから吉田輝幸さんにバトンタッチですが、脚本は引き続き古沢良太さんなので、安定した世界観です。大泉洋さんと松田龍平さんの掛け合いも良く、アクションシーンも志尊淳さん演じるシリーズ最強の対戦相手が登場し、ハードにコミカルに繰り広げられます。
そして今回のヒロインには北川景子さんが、屈託のない笑顔とその裏にある悲しい過去の影を演じてます。自分の命を燃やすものを求めてもがいてみせます。自分の命を燃やすものを、人は生きているうちに見つけることができるのか。自分が見つけたと思った命を燃やすものが、他人から見れば理解しがたい、ひょっとしたらくだらないとすら思えるものかもしれません。でもだからといって人はそのことをくだらないといって笑えるだろうか。くだらないと笑っていられる人は結局、自分の人生も傍観者としてしか生きることができない人なのかもしれません。北川景子さんの切なくも芯の強い演技を見て、ふとそんなことを考えさせられました。