悪魔の毒々クチビル

レボリューション・ティガの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

レボリューション・ティガ(2015年製作の映画)
3.8
「宗教を救う手は一つだけだ。お前を殺す」

近未来のインドネシアでかつて同じ道場でシラットを学んだ3人の各々の戦いを描いたお話。


2015年に公開されたインドネシアのアクション映画です。
あらすじがシラット大好きマンの俺からしたら激アツな内容だったので、U-NEXTで即観賞。
主人公格の一人ラム役に「シャドー・オブ・ナイト」や「ザ・ビッグ4」のアビマナ・アルヤスティヤが出演しているのだけ事前に知っていましたが、オープニングクレジットにシラットマスターことチェチェップ・アリフ・ラフマン先生の名前まであってテンション爆上がり!!
お陰で冒頭のクソショボい爆破CGも気にならなかったよ!
他にもイコさんのデビュー作「ザ・タイガー・キッド」、そして「ザ・レイド」シリーズ両方でイコさんの兄役だったドニー・アラムシャーや「ヘッドショット」で頬ぶっ刺された警官役のトゥク・リフヌ・ウィカナ、更には「Tarung Sarung」の宮川大輔似のおっちゃんまでいて、嬉しいキャスティングじゃないの。

2036年のインドネシアでは人権最優先の為、警察は実弾でなくゴム弾使用が義務付けられており、警察も犯罪者も生き抜く為にシラットを身に付けざるを得ない、と言う強制シラット設定も良いですね。シラット、もといプンチャックシラットは武術と舞踊の両側面を持ち併せているものですが、今作は戦いの為の武術と化していますね。

警察の特殊部隊に所属するアリフ、ジャーナリストとして真実を書くラム、信仰の道を選んだミム、と物語はこの3人の名前でチャプター分けされいて各々キャラも立っていて良かったです。動きで言ったらアビマナ・アルヤスティヤが一番良かったかな。
チェチェップさんは多分3人の当時の師匠じゃないかな、と思っていたら案の定で回想シーンにちょっと出てくるだけ…かと思いきや終盤思わぬ形で再登場し、アクションも見せてくれたのである。やったー!

アクションも当然シラットまみれで、打撃も受けも中々ハイレベルな動きが随所で拝めて眼福…なんだけど、今作のアクション、非常に残念な部分が。
それはスローモーションの多用。
序盤のアリフのバトルから攻撃が決まる瞬間、これ見よがしにスローになる演出が全部とまでは言わずともアホみたいに多い。
そのせいで折角のシラットバトルのテンポが崩れてしまって、ここはマイナス。マジで今までで観たアクション映画の中でもトップクラスに多かったと思う。
もしかしたらあの人の服装と言い、どこか「マトリックス」を意識していたのかもしれない。

序盤の世界観を語るナレーションでも触れていましたが、一部のシラットの達人が何故か超人染みた動きが出来るようになっちゃうのもよく分からない。
アリフら3人がその一例で、彼等は敵に殴られてもびくともしないだけでなく、弾を避けたり何なら弾を気功みたいなので止めたりしちゃいます。
この設定も蛇足ではあったかな。

もっと言うと脚本もそこそこで、宗教が存在する限りテロも終わらないので宗教そのものを悪と見なす世間の流れみたいな社会問題にも触れているものの、中途半端な印象。
ラストも完全に続編ありきな終わり方だったし。

まぁ割とネガティブな要素も多めでしたが、沢山シラットバトルが拝めたってだけで結構満足しちゃっています。
欲を言えば最後は3人揃って戦って欲しかった。
ただアリフのラストバトルだけとどめが喉を素手で抉るっていう、急にゴアいブルータル路線になっていたのは面食らいました。
どうでもいいけど2036年のスマホとかパソコンとかうっすい液晶ディスプレイのものばっかで、落としたら粉々に砕けそうなものばっかだったなぁ。