しゅん

彼女の名誉のしゅんのレビュー・感想・評価

彼女の名誉(1931年製作の映画)
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ドロシー・アーズナー監督作。女一人、男二人の恋争いに株式売買の世界が絡む。なんちゃなくてとても素敵。

未来的なイメージを想起させる型の引き出しに、階段に向かうための部屋の通路、餞別に(という名目で)渡すリングと、円形が至る所で本作を彩っており、クローデット・コルベールの丸い眉と丸い目と重なる。ダンスの動きも黒電話の形も丸い。「丸い魚なんて見たことない!」というセリフまで出てくる。その丸さはエロチックな気配を醸し出していると思う。特に、結婚一周年パーティーで再会したコルベールとフレデリック・マーチが奥まった場所で座る場面の舞台設計。卵型に段差をつけた空間の窪みに椅子があって、そこで二人は思わずキスをするのだが、あの場所がまるで女性器のように見えた。やけにキスが艶っぽく感じたのはそのせいだろうか。性的な形態解釈はあまり好きじゃないのだけどど。この作品のポルノ的でないエロさはどうしても気になる。

しかししかし、なによりクローデット・コルベールの会話のリズムと身のこなしと笑顔が素敵であった。彼女の映画をもっと観たくなった。
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