高度成長期を控えた昭和　タイアップの走り　であろうか、
浜松観光事業　の　バックアップを受けた　風俗も含めた御当地紹介。

・"鰻飯" 150円
・オートレース
・ストリップ劇場
・浜名湖の　遊園地　貸モーターボート
・ヤマハの　"バイク"　"ハーモニカ"
・ステッキガール なる　風俗業　

観客を迎える　女性陣
　シニア層：本田景子(淡島千景)、染五郎(淡路恵子)
　オヤジ層：ペリー春(三原葉子)
　若者層：及川千代(黛ひかる),トモ子(渡辺トモ子),あけみ(野口ふみえ)

淡島千景の 大人のお色気、三原葉子の プロポーション に　注目が。

ハーモニカ・ガールが　ホームで　ハーモニカを売っていた時代。
バイクを停めて急に　エンジン切る　若者。
当時のギャルは『知らない～！』と　言ったのか。

台風災害の　位置づけは　何だろう？
不通になった特急の客向け　2600個に 追加 1200個　の　急な弁当の
オーダーを　受ける　商魂！

しかし、ステッキ・ガール(横山道代)の同僚には　作品上の意味が？　


国立映画アーカイブ 2022/11/11

◎浜松名物盛りだくさんな駅前喜劇第三弾

1961年 88分 カラー 東京映画製作 東宝配給
スタンダード ＊画質、音質はさほど悪くない

豊田四郎監督の『駅前旅館』（1958年 2024.5.9レビュー）に続く喜劇駅前シリーズの第三弾で、舞台は浜松。

メインとなるのは、「互笑亭」という落語家の屋号のような浜松名物うなぎ弁当を商う駅弁屋で、遊んでばかりいる夫の弟次郎（フランキー堺）をよそに未亡人の景子（淡島千景）が切り盛りしている。

その景子に岡惚れしているのが、ストリップ小屋の社長孫作（伴淳三郎）。

【以下、念のため一応ネタバレ注意⚠️】






その悪友で織物会社社長の金太郎（森繁久彌）は、孫作、次郎とともに、妻ふじ（千石規子）の目を盗んで、これも浜松名物のボートレースで金をスッたり、ストリップ嬢の尻を追い回したりしている。

色々あって、景子は、昔の恋人だった東京で銀行員をしている村井五郎（加東大介）と再会、再婚して、東京暮らしをすることに。
駅弁屋は、次郎が継ぐことになった、というお話。

監督は、第二作の『喜劇　駅前団地』（1961年 未見）から第六作『喜劇　駅前茶釜』（1963年 未見）まで久松精児。

例によって、ドラマらしい盛り上がりもなく、ダラダラとエピソードをつないだだけで、笑いも森繁、伴淳、フランキーに、ゲスト格の花菱アチャコらといった芸達者に丸投げした格好の放任（つまり何もしない）演出。

本日、最初に観た同じ1961年の『好人好日』の方は、面白くて集中して観られたが、本作は中盤ぐらいから集中が途切れてウトウトしかけた。
が、特に、ストーリーが急展開することもないので、別段迷子になることもなかった。

かくも散漫にして杜撰な、邦画全盛期にありがちな量産型コメディなのだが、往時の芸達者たちの演技は、馴染んだ年代の方々にはツボにハマるのか、シネ・ヌーヴォの客席でも爆笑が絶えなかった。

まぁ、終盤、ラスト直前の10分間だけ、台風来襲のラジオ放送から実写とおぼしき暴風雨のシーンが挿入されて緊迫感が高まる。
駅弁屋は、列車の運行中止で商売あがったりと思いきや、立ち往生の乗客のための注文が大量に舞い込んだ。
「握り飯でいいから」と言われたにも関わらず、それまで厨房に見向きもしなかった次郎も頑張って、浜松名物うなぎ弁当を奮発して喜ばれたという大団円。

この最後に至って、ようやく少しドラマらしくなったので、マイナス分を埋め合わせて、スコアは 2.6 とした。

横山道代が、金太郎の工場での女工から按摩へ、按摩からステッキガール（Wikipedia で検索されたし。これも浜松名物の由）へ、さらにストリップ嬢志願と、相変わらず素っ頓狂なアプレ（って、この頃はそろそろ言わなくなっていたかも）女性を演じて、森繁と伴淳を引きずり回す。

木下亮監督の『男嫌い』（1964年 2024.4.30レビュー）でも、きゃりーぱみゅぱみゅ紛いのケッタイな扮装で出て来て驚いた。
横山道代は、テレビドラマなどでの落ち着いてからの姿しか知らなかったが、若い頃の彼女は飛び道具的なコメディエンヌだったということで、よろしいのか知らん。

あと、この年、大流行した『スーダラ節』が早速採り入れられていて、BGMとして植木等の歌入りで流されるほか、横山道代の無茶苦茶な按摩の合いの手として「スイスイスーダラダッタ、っと」と使われている。

それと、駅弁屋の番頭（支配人）として、初期小津映画の常連、坂本武が出演している。

大した露出ではないにせよ、ストリップ劇場の舞台も出て来るし、かなりお色気路線（これらも今じゃアウトでしょうが）込みのコメディではありました。

《参考》
＊1 「喜劇　駅前弁当」「ステッキガール」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

＊2 喜劇　駅前弁当
1961年12月24日公開、88分
moviewalker.jp/mv20395/

＊3 キネノート　喜劇 駅前弁当
レビューの数 15
www.kinenote.com/sp/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=20576

＊4 『喜劇　駅前弁当』（1961年・久松静児）
佐藤利明（娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー）の娯楽映画研究所
2020年4月16日 15:58
note.com/toshiakis/n/n5bd27fa5e6e0

《上映館公式ページ》
生誕百年 女優特集・第2弾
〈宝塚歌劇出身の2大女優〉
越路吹雪と淡島千景
2024.4.29〜6.7 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/koshijiawashima/koshijiawashima.html

【詳述は、『サラリーマン出世太閤記』欄で】スコープ時代の、久松の穏やかに腰を落ち着け、更に役者とドラマの正念場と悲哀を導き出す真骨頂。