回想シーンでご飯3杯いける

護送車の中で/クラッシュの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

護送車の中で/クラッシュ(2016年製作の映画)
3.5
3月から配信が始まるマーベルのドラマ「ムーンナイト」の監督にも抜擢されているエジプトのモハメド・ディアブによる2016年の作品。タイトル通り、ほぼ全編が護送車の中である。

2013年のエジプト政権崩壊時のデモに参加した活動家、デモに反対する団体のメンバー、報道関係者等、国籍も政治思想もバラバラの人達が、一台の護送車に閉じ込められる。ここまでの設定を聞くと、密室の中で会話を重ねる中で友情が芽生えて、思想を超えた絆が、、、というストーリーを想像してしまうのだが、本作はそれを華麗に裏切る、なかなかぶっ飛んだ内容になっている。

護送車の中は混沌とし、更に車の外も暴動状態でカオス。特に街中の様子がえげつなくて、どう見ても本当の暴動にしか見えない。SFやアクション映画のトリッキーな映像を見てもあまり驚かない僕だが、今作のように混沌とした映像は今まで見た事がなく、ものすごいインパクトを感じる。群衆が緑のレーザー・ポインターを使って煽ってくるのだが、エジプトではこれが流行っているのだろうか?

手持ちカメラで撮影された映像は揺れも激しく、どっちが上だか分からなくなる事もしばしば。映像に酔いやすい人は閲覧注意。