ウインド・リバー
実際に起きたレイプ殺人事件を基にした映画だ。
ジェレミー・レナー扮するハンターが正義の鉄槌を下すのだが、そこには正義の遂行という意思はなく、友とその娘の無念を想う男の誠実さと優しさが溢れていたよ。
ネイティブアメリカンの女性たちの失踪について、米国は調査さえしていないとのことだ。
ハンターのコリーが若い娘の遺体を発見した時、私は続きを観るのをやめようかと迷ったよ。
こういう類の映画は私は苦手で、観終えた後に、しばらく引き摺ってしまうのでね。
そして、辛抱しつつも鑑賞を続けたが、やはり許し難い真相が分かり、コリーが下した人としての審判に心底から共感し、無念の父親と亡き娘さんの心に寄り添う彼の心に強く同調したよ。
レイプ殺人やレイプそのものは、日本でも世界でも後を絶たないが、クソ野郎どもに地獄の苦しみを与えてやりたいと思えてならない一人として、事実に基づく本作は、私の心に深く刻み込まれたよ。
映画としても、派手な演出もなく、人々の心のヒダを静かに表現して終えた本作は、まるで小説を読んでいるかのような感覚だった。
とても良い作品だったよ。
ありがとう。