アキラナウェイ

サイドウェイのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

サイドウェイ(2004年製作の映画)
3.7
人生の脇道。寄り道。まわり道。

おっさん2人のワイナリー巡り。そこで出会った女性とのロマンスを描くロードムービー。

教職の傍らで小説を執筆する、バツイチのマイルス(ポール・ジアマッティ)は、親友であるジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の結婚祝いに、彼をカリフォルニア州サンタバーバラ郡のワイナリー巡りに連れ出すが—— 。

ワイン好きとしては堪らない。
美しい田園風景が広がるワイナリー巡り。

あ、ワイン好きは言い過ぎだ。特に品種に詳しい訳でもなく、週末はコンビニで税抜298円の赤ワインをかっ食らうワインかぶれ。昔はソムリエさんに色々聞きながら選んだりもしていたけどなぁ。

それにしても、このおっさん2人が碌でもない。

マイルスは別れた前妻に未練たらたらだし、小説家としても出版の兆しはなし。キャラクターとしての魅力に欠けるようでありながら、ポール・ジアマッティがハマり役で、憎めない人物として好演。

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」のサンドマン役で知られるトーマス・ヘイデン・チャーチ演じるジャックは、独身最後の旅とあって、女性を引っ掛ける事しか頭にない。

この凸凹コンビ感が面白い。

マイルスとジャックは、旅の途中で出会ったマヤ(ヴァージニア・マドセン)とその友人であるステファニー(サンドラ・オー)と、距離を縮めていくが…。

ジャックとステファニーがヤリまくり。距離縮め過ぎ。痛い目に遭ってもまだ懲りないジャックには、心底呆れる。

想いを寄せるマヤにも、一歩を踏み出せないウジウジのマイルス。

マヤが語る台詞が素敵で。

「ワインは生き物。今日開けた味と別の日に開けた味は違う。ピークを過ぎればワインは下り坂を迎えるが、その味もまた捨て難い」

ワインの熟し方を人生に重ねて聞くと…

なるほど深い。

ダメダメなマイルスだけど、グラスからその香りを吸い込み、口にゆっくり含みながら語り始める蘊蓄を聞くのが楽しいし、ヤケになってワインを頭から被るのも大いにウケた。

大人になって、何もかもが上手くいく訳じゃない。でもそんな人生の下り坂も、脇道、寄り道、まわり道を繰り返して、少し違った味わいを見つける事も出来るんだなぁ。

派手さはないけど、アカデミー脚本賞受賞は伊達じゃない。