総じてかなり面白かった。
優生思想と実力主義の世界。
人間の営みの中で、必ず起こりうる「差別」は人種、肌の色など、見た目を超えて
遺伝子レベルへと到達する。
主人公は、生まれ持った遺伝子によって人生を決められた小さな世界で、壮大な宇宙への旅を夢見る。
だが遺伝子操作によって適正者とされる、という設定がもはや人間に作られた都合の良いロボットでしかなく、未知で壮大なストーリー設定の中で優生思想への冷笑的な目線や皮肉がとても面白い。
ガタカでは、黒人やアジア系の社員も多く、
外見を判断基準としてきた過去社会の愚かさに目を背けずにはいられない。
本作はディストピア作品だが、
今だになくならない人類同士の差別、偏見を
乗り越えた先のラストは現代を生きる私たちをも同時に救ってくれる。
「そう遠くない未来。」
優生思想の恐ろしさと差別の愚かさを
改めて感じる作品だった。