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ブルー・バイユーのerinaのレビュー・感想・評価

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
4.1
主人公が家族に対して「選ぶ」という言葉を使っているのが印象的。義務や宿命でもなく、そこには自らが選択した強い意志がある。
そこに彼らの生活がある限り、血縁関係、人種など関係なく、他人に侵される領域ではないはずだ。

これは2022年の作品。
これだけ人種差別が問題視され、
声高々に訴えられているにもかかわらず
この国際養子縁組の問題には根深い差別が
未だに存在している。
(主人公に対する周囲の扱いもそうで、
冒頭から偏見的な目で見られるシーンから始まり、義母からはほぼ無視されている)
 
特に韓国は世界屈指の「赤ちゃん輸出国」と呼ばれ、(本作と同年に、「ベイビーブローカー」が公開されている。)
80年代-90年代に韓国から養子として渡米した多くの移民たちが、本作の主人公と似たような目に遭っているという。
実際2017年に、フィラデルフィアで養子縁組をした男性が韓国に追放され、自死してしまうというニュースがあった。

 そしていま日本はというと、日本の外国籍住民が税を納めない場合に、永住許可を取り消せるようにする改正案を国会に提出しようとしている。
永住許可をもっているにも関わらず、
日本国籍者と同等に扱われない現状があるのだ。

国関係なく、未だに差別偏見の芽は絶えず、
差別するということが
法の元に当たり前に成り立ってしまっているという事態を改めて私たちは認識しなくてはならない。
 
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