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同窓会/アンナの場合のncccoのレビュー・感想・評価

同窓会/アンナの場合(2013年製作の映画)
2.9
映画というよりは現代アートの映像作品を観ているような感じ。
観ていて気持ちのいい作品じゃないけど嫌いじゃない。
たまに差し込まれるランニングのシーンがちょっとしたカタルシスで、救いすら感じさせてくれるから不思議だ。

よく昔の嫌なこととか全部覚えてて描けるなって岩井俊二とか観ていても思うけど、やっぱその独特の感受性とか記憶力の高さとか、トラウマが忘れられないまま大人になっていく人ってのがある種のアーティストってものなんだろな。

私もいじめまでいかないけど学校生活にはいい思い出が全くないし同窓会なんて行ったこともないし行きたくもない。昔の傷を成長のないもの同士でなめ合うなんてキモチ悪い。けど、そのコミュニティで満足できていたら、今の自分はいなかったよなーともたまに思うのね。だからってこんな風にわざわざ嫌なものを掘り出して、そこに意味があるのかなっていうと違う気もするし、個人の通過儀礼に利用される同級生はいい迷惑だけどね。作中何度も何度もリピートする「アンナはアーティストだからね」「有名だからね」これが、作家なりの自分の気持ちの落ち着けどころなんだなと思うけど、でも、そう思うように全部作りこんでいるだけなのかも?どこからどこまでが作者の意図なのかわからない!自分も振り回されてるだけなのかも。笑 

とにかく、学校生活にいい思い出のある人は見ないほうが賢明だけど、個人的にはそんな人にこそ見てほしい作品ではある。ただ、いきなりこれだと心臓に悪いでしょうから、まずは「桐島、部活やめるってよ」からスタートされてはいかがしょうか。それがせめてもの私のやさしさです。
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