バービーランドがメインなのに、バービーランドパートの方が退屈でした、個人的には。
おもちゃの世界で生身の人間がおもちゃを演じているという違和感をどう脳内で処理するかという問題は置いといて、男性社会とそれを揶揄するフェミニストあるいはウォークネスをも揶揄するような冷笑的な作劇を、そのテーマ主張のくどさをブラックジョーク調の会話テンポのノリと勢いで中和させたような、妙に奇怪な映画でした。
それでいてベースラインはあくまでハイテンションなので、何だか眠りが浅い時に見る、″楽しい風″のカオスな夢を見ているような、不思議な作品です。
展開のとっちらかりっぷりはともかく、結末自体は良かったと思います。
男性が偉大なのではない、女性が偉大なのではない。個人こそが偉大なのです、と言われているような気がしました。
要するに、人は何を好んでいても良いのです。古臭くっても良いのです。少数派でもいいのです。己の心に従い、心から愛したモノ。何かに心を注いだ自分。そういう自分こそを、信じていいのです。それがあなたの個性なのです、と。
他人の評価や言葉に左右される必要はありません。
マーゴット・ロビーはヒットメーカーというタイプの女優でもないと思うのですが、今回ばかりは目の付けどころが良かったと言うほかない。もちろん、製作スタッフの力によるところも大きいでしょうが。
