BOB

私、君、彼、彼女のBOBのレビュー・感想・評価

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)
3.5
シャンタル・アケルマンが、監督・脚本・主演を務めた長編劇映画。

シャンタル・アケルマン監督作品、初鑑賞。過去に出会ったことのないタイプの作品だった。最後まで興味深く観ることはできたが、この作品の何が素晴らしいのか、今の自分にはよく理解できなかった。

恋人と喧嘩して無気力になった若い女性が、その関係を修復するまでに密着したセルフポートレート的な作品。モノクロ、定点長回しが特徴。雰囲気はジャームッシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』。

"私"は若い女性、"君"は"私"の心の声、"彼"は大型トラックドライバー、"彼女"は恋人。

「私と君」「私と彼」「私と彼女」の綺麗な3幕構成。テーマは、アイデンティティと性欲か。無気力で厭世的となった"私"が、能動性、欲望を取り戻していく。

「私と君」一袋の砂糖を食糧に、部屋に閉じ籠もり、特別何かをするわけでもなく、すべてが過ぎ去るか、何かが起きるかをただひたすら待ち続ける。内なる自分と対話するかのようなモノローグ形式で語られていく。映像とボイスオーバーに絶妙な時間差があり、興味を持続させる。

「私と彼」ヒッチハイクしてくれた大型トラック運転手の男性と、深夜のドライブ旅。身の丈話や性生活を、一方的に聞かされる。

「私と彼女」恋人の家に泊まり、情熱的な一夜を過ごす。こんなにも長いメイク・ラブシーンは初めて観た。二人はフルヌードで情熱的なのだが、定点固定カメラと、カメラに一切意思がないと、ただ淡々とセックスという行為をしているだけで、観客視点では感情的な盛り上がりはない。

430
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