カトゥ

エベレスト3Dのカトゥのレビュー・感想・評価

エベレスト3D(2015年製作の映画)
3.0
世界最高峰、エベレスト。
90年代に商業登山(ギャラさえ払えば誰だって挑戦できる仕組み)が整備され、大金持ちから登山マニアまで殺到した結果、事故と災害が激増した。その最も凄惨だった1997年を描いた作品。
 
挑戦する人間は、皆それぞれの想いを抱いて山に挑む。
功名心、畏怖、憧れ、自己実現。共感できる人も、そうでない人もいる(日本人の女性登山家をモデルにした人も登場します)。
でも、山は、エベレストは人の気持ちなんて関係無く、その命を奪っていく。ちょっと疲れた、情報の行き違いがあった、技術が足りなかった、技術はあるが、運が無かった。
ばっさばっさと、死神の鎌が振り下ろされる。人格者も、そうでない人も、金持ちも、現地人ガイドも、あっさり死ぬ。
それが、高山。8000m峰の世界。
ドラマもへったくれも無い。

 
人が順応できない世界に挑む魅力と怖さを、くっきりと形にした映画。なんだかわからないうちに、優れた装備と経験を持つ人達が命を失う。
だからこそ登る、というのが山に惹かれた人間の性。
人の挑戦する心というのは、不合理かつ、魅力的だ。

身勝手な登場人物達に、腹を立てる人もいるかもしれない。でも、人ではない何かに裁かれる状況だからこそ際立つ人間性は、それが歪なものであっても特別な熱を持つ。それが観られただけでも、良い作品だと思う。映像が陳腐でないことも素晴らしい。
 
しかし疲れた。
娯楽映画なのに疲労します。だから、おすすめ。
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