映画武士道

インフェルノの映画武士道のレビュー・感想・評価

インフェルノ(2016年製作の映画)
2.4
ラングドン教授のシリーズの第三弾。
超有名なダビンチコードの続編です。
第一弾のダビンチコードは大傑作と言っていい出来でしたが二作目はあれれ?と言った出来で今作に至ってはもう形骸化した抜け殻のような作品プロットしか残されていない出がらしのような作品でした。
非常に残念な作品です。

ラングドン教授のシリーズは宗教象徴学と出ていますが実際にはそんな学問は存在していない感じです。調べても出てきません。実際のところ実在する学問で近いのは紋章学(中世騎士や宗教団体が用いてきた紋章を研究する学問)の教授が紋章の知識とオカルトの知識を活用して謎を解いていくというシリーズです。

第一弾はキリスト教のタブーに触れるような革新的な内容でした。
キリストには実の子がいたのではないか?(キリストには妻や子がいたとする学者も存在し、キリストには妻や子がいたということが書かれている古代文書が発見されている。キリストに子供が本当にいたとしても不思議ではない。一応現代のキリスト教ではキリストの妻と子の存在は否定されているので《かも?》としておきます。)キリスト教最大の聖遺物と言っていい聖杯の探求。キリスト教の秘密を守る秘密結社「シオン修道会」。この団体は実在の秘密結社です。公式には現在は解散して活動はしていませんが。
こういったオカルトの知識がきっちりちりばめられ、説得力のある内容は世の中の人々を魅了しました。その影響力は絶大でカトリックの総本山であるバチカンが「ダビンチコードはあくまでも小説作品であり信じすぎないように。」と警告したほどです。
内容も非常に良かった。過去のキリスト教の秘密を紋章学などを使って解いていくのはバッチリはまっていました。


ところが第二弾の「天使と悪魔」はバチカンを敵に回したことを作者が悔やんだのか一転しバチカンを褒め称えるような内容。
敵は一応秘密結社「イルミナティ」ということですがこの作品は最先端の科学技術を使う相手。
わざわざ主人公側に紋章学を使った暗号を残し、追跡できるようにヒントを与えているのが凄く違和感がありました。
それでもキリスト教の総本山のバチカンが舞台で敵は秘密結社ということでまだ第一弾で築いた作品プロットを踏襲したちゃんとした後継作品とは言える感じでした。

ところが今作は作者の才能が尽きたのか、それとも製作者サイドが最後にもう一本やってファンから金をせしめてやるか~というような感じがするやっつけ仕事的な作品内容でした。
第一作が良かっただけに非常に残念です。

敵がまずありきたりな、人類は増えすぎたので大量に殺戮して人類間引きするべきなんだというベタな悪人。ただの頭のおかしい億万長者で秘密結社ですらありません。
そしてなんでダンテを暗号に利用してたのか謎だし紋章などのオカルト知識を使って暗号化してヒントを残してたのが謎です。。(犯人がダンテが好きだったから?)
私も投資をやってるのでそれなりの機密を扱っていますけど、自分だけが知ってればいいような暗号にしますよね。オカルト知識などで暗号化してもオカルト知識を知ってる人は世の中に教授職も含めて学者さんはたくさんいますのでわかっちゃうので暗号強度が低すぎます。なんで犯人はオカルト知識があれば機密にたどり着けそうなヒントを残すんですか?

第一作のストーリーはまだ宗教の教義とかを後世にわかるひとだけにはわかるように残さないと教義が途絶えてしまうのでオカルトの知識や紋章などを使って暗号化して、わかる人にはわかるように残す。

という動機があるんですが今作は犯人が軍事機密の作戦計画をオカルト紋章学で暗号化してわざわざヒントを残して追跡できるようにしてるのはほんと動機がわかりません。

あと最初に記憶喪失になった教授が運び込まれた女医がすごく若くて美人。20代くらい?しかもやたらとオカルト学や紋章学に詳しい!そして命を狙われている教授を全く見ず知らずの他人であるにも関わらず身を挺して命がけで助けてくれる。
そんな子いる~?しかもそんな子の元に運び込まれるとかいう偶然ある~?めちゃめちゃ怪しい!と思ったら案の定裏切りやがった!
ミエミエなんだよ~!

第一作の輝きからほど遠い酷い作品・・・本当に残念です。

あとお気に入りのキャラだった世の中のセレブ達の機密を守るというセキュリティ企業のボス(傭兵あがりっぽい?)が最初出てきたときは一瞬で敵を暗殺するものすごい手練れ感を見せていたのにクライマックスシーンではあっさりいつの間にかやられる展開で怒りを感じました。あんな強い設定だったのにあっさりやられすぎだろ・・・

トムハンクスの演技がなかったらもっと点数が低かったです。
正直ほんと酷い作品。悲しいとしか言いようがないです。
この続編作者関わってないでしょ?と思って調べたらダン・ブラウンの書いた原作小説があってさらに悲しくなりました。
一体どうしちゃったんだ・・・って感じ。
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