スローモーション男

黄金の馬車のスローモーション男のレビュー・感想・評価

黄金の馬車(1953年製作の映画)
5.0
 ジャン・ルノワールの最高傑作じゃないですか!!!

 イタリアの名女優アンナ・マニャーニ主演

 南米を舞台にイタリアからやって来た劇団と、そこのスター女優に恋する3人の男を主軸にした物語。

フランソワ・トリュフォーや濱口竜介がオールタイム・ベストに入れているだけあって期待してましたが、期待以上の作品です。

 ヴィヴァルディの『春』から始まるこの映画はカラー映画の魅力を最大限使った色鮮やかな画面作り!
 もう本当に映像が美しい!さすがはオーギュスト・ルノワールの息子!

 内容は女優カリーナに恋する劇団員のフェリペと闘牛士のラモン、上流階級の総督フェルディナンの男との色恋が描かれ、「黄金の馬車」を巡っての物語となっています。

 カリーナは男たちを振り回しお金や権力に魅了される点や、男たちも自分勝手な性格など普通ならイライラしてしまうようなキャラクターも愛らしく描くのが凄い!
 これは『河』などでも使っていて高慢な貴族の人たちも愛着の湧くように演出している。

 そしてカリーナの決断が描かれるラストシーンと舞台と現実の多重構造が素晴らしい!

この映画にオマージュを捧げて、トリュフォーは『終電車』を濱口は『ドライブ・マイ・カー』を撮ったような気がする。

これこそ「生きる」映画!!!

ジャン・ルノワールの一番好きな映画になりました!