ササキ・タカシ

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦のササキ・タカシのレビュー・感想・評価

3.0
やはり押井守監督はすごい。本気で高島礼子をヒロインにしている。真野恵里菜を、太田莉菜を、森カンナを差し置いて高島礼子(50歳)が萌えヒロインだ。もともと年増好きを公言していたのだから当然と言えば当然なのだが、まさか実写パトレイバーというエンタメ作で、あまつさえ劇場版でそれをやるとは思わなかった。高島礼子のキメカットの度に「マジか…!」ってゾクゾクしたよ! いや、カッコよかったけどね高島礼子。50歳に見えねえ。

『機動警察パトレイバー2 the Movie』の続編、と言うより監督本人によるあからさまなエピゴーネンのような内容で、主人公のおっさん(=押井監督の身代わり)が年増女に振り回されつつ頑張る、っていういつものアレである。パト2で後藤さんがしのぶさんに振り回されつつ頑張ってたように、イノセンスでバトーが草薙素子に振り回されつつ頑張ってたように、今回は後藤田隊長(=押井監督の身代わり)が榊原良子と高島礼子の年増2人に振り回されて内心「いやーこまっちゃうなー」なんて思いつつもダンディに頑張るという特殊な性癖の英雄譚だ。この性癖、やっぱり感情移入が難しいよ! パト2は後藤さんとしのぶさんと敵ボスの三角関係を描いていたが、今回は後藤田隊長としのぶさんと後藤さんの三角関係。つまり後藤さんが敵ボスのような存在で、いやもちろん敵対人物は他に普通にいるんだけど今回はそんなに重要な存在ではなく、「不在」の後藤さんに対する尊敬と畏怖と嫉妬が主人公を動かしている。後藤さん自身が全く出てこないのにそういったドラマをやってのけるのはさすがとしか言いようがない。「不在」である時点で絶対に勝てない、並ぶ存在にもなれないという悲哀を筧利夫(=押井監督の身代わり)が朴訥と演じていてなかなかに良いキャスティングだと思った。

押井監督自身が実写版パトレイバーを監督すると聞いた時は期待30%不安70%くらいの気持ちだったけど、結果的には愛すべきシリーズになったんじゃないかなと。本作も「うわあ…押井だな…」と思っちゃうどうなのこれって部分もあるんだけど、「おお! これぞ押井だ!」と思うような高まる部分もちゃんとあった。押井監督にしか作れない特異な映画だと思う。でも、次があるとしたらやっぱり脚本は伊藤和典にやってほしいずら…
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