このレビューはネタバレを含みます
なんと切ないラストだろう。
向かいのアパートの住人が孤独死し、どこか他人事と思えない主人公の、故人の人生を辿る旅が始まる。
人の生きた証は人との繋がり。旅の中でそれを実感し、新しい繋がりによって自分自身も人生が前向きに転がり始める。
孤独な死を遂げた人間だって、必ずどこかでは誰かと繋がっていた。丹念にその人生を辿る仕事は、死者への弔いということだけではなく、人の繋がりの大切さを見つめ直す意味でも、今を生きる人にとって大切なことだと思う。“効率化”を求める社会に欠落している観点だと、作品は訴えている。