「ホモ・サピエンスの涙」
「散歩する惑星」
「さよなら、人類」←今ココ!
スウェーデンの奇才ロイ・アンダーソン監督の作品をじっくり味わう。
全39シーンを、全て固定カメラによると1シーン1カットで撮影。CGに頼らず、スタジオ内に巨大なセットを組み、マットペイント(背景画)を使い、独特な世界を創造する。ある意味、彼は神だと思う。
おもしろグッズを売り歩くセールスマンの2人組、サムとヨナタン。彼らが出会うのは、何をやってもうまくいかない、哀しく、可笑しな人生を送る人々—— 。
絵画的な画に、いつも惹き込まれてしまう。
奥行きを感じさせる構図。
白塗りの顔をした人達。
ほんの少し気味が悪いけど美しい。
監督の頭の中はどうなっているのだろう。
唯一無二の世界観。
誰も、決して真似など出来ない。
イケメンにセクハラし放題のフラメンコダンスの先生。
ベッドの上で金切声を上げる老婆は、宝石の入った鞄を天国に持って行くと聞かない。
ハンサムなバーテンダーの手を握って離さない、18世紀のスウェーデン国王陛下。
その後、ロシアにボロケチョンに負けて帰ってきた国王陛下と軍隊。
1杯1シリングで飲めるお酒を、お金がない水兵達にはキスで売る女主人。行列を成す水兵達。
何もかもが、シュール。
人生の喜びも哀しみも
貧しさも豊かさも
生も死も
一体何の意味があるのだろう。
愚かで可笑しな人類を描き出す100分間。
猿の実験や、大きな樽の中に人を入れて火炙りの刑に処す場面等、ギョッとする瞬間も。
構想15年。
撮影4年。
完全に頭おかしいよロイ・アンダーソン。
いや、褒めてるんです。
大好きなんです。
これからも追いかけます。